長らく、「手術・放射線・抗がん剤が、がんの三大治療法」といわれていましたが、2018年のノーベル生理学・医学賞受賞者、京都大学高等研究院特別教授の本庶佑氏らが見いだした免疫チェックポイント阻害薬オプジーボの登場により「免疫療法」ががんの標準治療の1つとして確立し、「第4のがん治療法」と呼ばれるようになりました。とはいえ、「四大治療法」を持ってしても、がん克服への道のりはまだまだ遠いのが現実です。

 そんな中、最近取材していて、ひょっとして手術・抗がん剤・放射線・免疫療法に次ぐ「第5のがん治療法」としてブレークスルーをもたらすかも、と予感させるのが、「ケミカルサージェリー」です。医療機器を使って人体に安全な光や超音波、熱中性子線などのエネルギーを患部にピンポイントで照射し、そこで薬剤を活性化させて、がんを切らずに治す。1月21日付の記事(「薬剤×医療機器」でがんをピンポイント攻撃)で紹介した、ナノ粒子(高分子ミセル)を用いた「光線力学療法」や「ホウ素中性子捕捉療法」(BNCT)、「集束超音波と抗がん剤を内包したナノミセルを組み合わせた治療法」は、まさにその最先端を走っています。

 中でも、1月23日付の記事(液体のりの主成分が「がん根治」のカギに)でも取り上げたBNCTは今後、前臨床、臨床試験をうまくクリアできれば、がんの治療体系を一変させるブロックバスターになるポテンシャルを秘めた治療法だと感じています。BNCT用のホウ素化合物に、生体にも無害な液体のりの主成分を加えて治療効果を劇的に高めたとしてマスコミでも話題になりましたが、BNCTも液体のりも50年以上前から国内で開発が進められてきた技術。「日本オリジナルの技術を組み合わせた本治療法を将来世界に輸出していきたい」という開発者の意気込みには本当にワクワクします。

 海外でも、「超音波によりがん細胞を選択的に破壊」「術中の肺がん組織を視覚化する新技術」など「第5のがん治療法」に相当する新しい技術が続々登場しています。Beyond Healthでは今後、治療法に限らず、スクリーニングや診断、緩和医療などを含め、がんに関する新しいテクノロジーの動向をどんどん探っていきますので、ご期待ください。

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