2021年9月のデジタル庁発足後、にわかに注目を集めているのが「準公共」と呼ばれるサービス領域だ。2021年末に政府が示した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」によれば、「健康・医療・介護・教育・防災・こども」などが該当し、積極的にデジタル化を推進していこうという。

 この領域のデジタル化によるメリットは、個人のデータを介して健康・医療といった各サービスが相互につながることである。例えば、日常生活で得られるバイタルデータが病院に送られて医師の診断の基礎情報となり、診断結果をもとにした食事やエクササイズがおススメされる、といったことがやりやすくなる。これまではサービス提供者間でデータを共有することが難しく、利用者自身がデータの意味を解釈し、自らサービスをつなぎ合わせる必要があった。

 注目すべきは、この準公共領域のデジタル化を「官民の連携」で推進しようという掛け声がかかっていることだ。これまでであれば国や自治体などが主体となって提供するものだったところを、あえて「準公共」という名称をつけて「公共」と区別し、この領域については民間のアイデアやノウハウを生かそうという狙いがある。

 この方針は、企業にとって事業の拡大好機となる。デジタル庁の重点計画によれば、政府が蓄積・収集した準公共分野のデータについては民間利用を促進するとしており、具体的には「サービス間のデータ授受を円滑にするAPI(Application Programing Interface)やデータの公開原則を徹底する」としている。

 今後提供される準公共分野のAPIやデータを新サービスに生かせるかどうかは、民間のアイデア次第。これまでは利用者からすれば「公共サービスは使いにくい」、サービス提供する国や自治体からすれば「利用者が求めているものが分からない」といった声があり、両者には大きな隔たりがあった。今回の「準公共」領域のデジタル化が、両者の溝を埋めるきっかけになることを期待したい。

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