私事で恐縮ですが、先日、遠い親戚を亡くしました。原因は夜中に発症した脳卒中です。ベッドの横で倒れていたのを、朝起きた家族が発見して通報しましたが、1週間の闘病生活を経て、残念ながら息を引き取りました。

 脳卒中には、「アルテプラーゼ」という有効な治療薬が存在します。ただし、発症してから4.5時間以内に静脈内投与をしなければなりません。今回の親戚のように倒れていても長い時間気づかないと、アルテプラーゼが処置できません。このような背景から、脳卒中患者の7%は亡くなり、29%は寝たきりなどの重度の後遺症、26%は軽~中等度の後遺症を抱えているといいます。

 倒れた人をもっと早く発見できれば、多くの命を救えるとともに、後遺症で悩む方々の数を減らせるかもしれません。そういったことを目的に積水ハウスが開発したのが急性疾患早期対応ネットワーク「HED-Net」です。HED-Netでは、居住者のバイタルデータを部屋に設置したセンサーで非接触で検知・解析し、急性疾患発症の可能性がある異常を検知した場合には緊急通報センターに自動で通知します。その後、オペレーターの呼びかけで安否確認を行い、救急車の出動を要請します。救急隊の到着を確認すると、オペレーターは遠隔で玄関ドアの解錠を行い、搬送後の施錠まで一貫して行う、という一連の流れを実現します。

 このような仕組みであれば、たとえ夜中に倒れたとしても即座に発見、搬送を行うことで、時間内のアルテプラーゼ投与が可能となります。現在、積水ハウスはモニターを募集し、応募者の自宅にセンサーなどを取り付けて、システムの実証実験に取り組んでいるといいます。

 昨年夏に訪れたコロナの第5波において、自宅療養中に体調急変などで亡くなった約7割の方が、働き世代の50代以下の方だったというデータがあります(NHKの報道から)。HED-Netのような仕組みの普及がこのような悲劇を未然に防ぐ可能性を秘めています。以前のインタビューで積水ハウスの仲井嘉浩代表取締役社長は、同技術を広くオープンにしていくと語りました。家をより安全な場所にするためにも、システムの普及を望みます。

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