新型コロナウイルスの感染が表面化して以来、対応に追われる厚生労働省。2月28日にアップした「庄子育子が斬る! 行政ウオッチ」で触れた通り、同省では体育館ほどの広さのある講堂内に部局横断の特命チームによる対策本部を組織して、24時間体制で稼働させている。携わる人員はいまや200人に近いという。その中には、厚労省から他の機関に出向中の人に加え、同省を離れ民間企業に就職したり会社を興したりした「元官僚」も含まれている。

 数年前に民間に移り、このたび同省から声がかかって久々に「奉公してきた」と語る、元官僚の一人は、さる変化に驚いたという。それは、些細な事項まで大臣にあげて判断を仰ぐようになっていること。具体的な内容までは披露してもらえなかったが、「異常な状態」と懸念を見せた。

 大臣にまで話を上げるのは、官邸主導政治の中、大臣の顔色を伺ってということなのかと思いきや、そうではないらしい。この元官僚によれば、「責任を負うリスクを避けたい一心で、とにかくすべからく報告しておけばいいとの思考回路になってしまっている」とのこと。不眠不休で働くダメージは、健常な判断力を失わせているのだ。

 そして元官僚はこうも続けた。「今、コロナ対策で忙殺される厚労省の職員にとって、最大の敵はテレビのワイドショー。様々なコメンテータが登場して自らの『意見』を述べるが、テレビを見る側はそれを『事実』のように受け止めて、時に厚労省へ強烈な怒りの矛先をぶつけてくる」。

 「最大の敵」という表現は言葉が過ぎるように筆者には感じたが、それだけ厚労省で働く人たちは殺伐としてしいることの現われかもしれない。コロナ問題は本当に恐ろしいし、厄介だ。一刻も早い終息を願うばかりだ。


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