筆者が編集を担当した新刊が4月、無事発刊されました。タイトルは『クアオルト・リテラシー』。市民の健康づくり事業の核として、全国の自治体で広がりを見せるクアオルト健康ウオーキングの魅力と各地の取り組みに迫った本です。著者は日本クアオルト研究所の大城孝幸代表。大城氏はこれまで100を超える自治体を訪問し、同ウオーキングの啓蒙普及に努める、クアオルト健康ウオーキングの伝道師です。

 クアオルトとは、ドイツ語で「療養地・健康保養地」の意味。ドイツのクアオルトでは自然を活用した運動療法が行われており、公的な医療保険の対象となっています。日本では、この療法(気候性地形療法)で行われているドイツ式ウオーキングをクアオルト健康ウオーキングと呼び、全国の自治体で採用、導入が拡大しているのです(関連記事:ドイツの気候療法を参考に、福井で「well-beingツーリズム」)。

 クアオルト健康ウオーキングが支持される理由の1つ目は、高い運動効果と安全性の両立が配慮されていること。野山の斜面などにつくられた専門コースを専門ガイドと共に歩く同ウオーキングは、心拍数で歩く速度を調整するのが特徴です。目標とする心拍数は通常「160-(マイナス)年齢」(上りの場合)で、これは全力時の約55~60%に相当する運動強度。「個人の体力に合わせた、無理をしない、がんばらない運動」が合言葉です。

 2つ目は、総合的なまちづくりに活用できること。例えば山形県上山市は「上山型温泉クアオルト構想」を打ち出し、同ウオーキングによる多様な健康ツアーを運営。健康、観光、環境の3つを柱に、市民の健康増進と交流人口の拡大による地域活性化に取り組んでいます。一方、人口40万人を超える中部の中核都市として、都市型クアオルトによる「健幸都市ぎふ~出かけて健康になるまち~」の実現を目指すのは岐阜市。(関連記事:都市型クアオルトを核にした健康・観光都市を構想)。地域資源を生かした独自のプログラムをつくれることが、同事業の最大の魅力だと言ってよいでしょう。

 加えて見逃せないのが、クアオルト健康ウオーキングを介した企業とのコラボレーションの可能性。同ウオーキングの活用による健康経営や新ビジネスの創出に関心を寄せる企業が増えており、公民連携も盛んです。こうした取り組みもリポートしています。本書の副題は「賢く歩いて、人、企業、地域が変わる」。「Beyond Health」の読者に、ぜひとも読んで頂きたい1冊です。

(タイトル部のImage:arkgarden -stock.adobe.com)




新刊 好評発売中!

『賢く歩いて、人、企業、知識が変わる クアオルト・リテラシー』
著者:大城孝幸