先日、身内の高齢者が自宅で転倒し、あばら骨を骨折しました。窓を開けようとしたところ身体のバランスを崩して転んだようで、本人も何が起きたのかわからなかったと話していました。痛みはあるものの、幸いなことにコルセットを装着して日常生活を送っています。

 高齢者の骨折は、要介護状態になるきっかけの一つです。「令和元年版 高齢社会白書(全体版)」によると、要介護者などについて、介護が必要になった主な原因を見ると、「認知症」が18.7%と最も多く、「脳血管疾患(脳卒中)」の15.1%、「高齢による衰弱」の13.8%に続いて、「骨折・転倒」が12.5%となっています。男性の7.1%に比べて、女性は15.2%と高いのが特徴です。思いもよらない事故が、高齢者の健康寿命を妨げることになります。

 そうした悲劇を防ぐ目的で開発された商品が、静岡県浜松市のスタートアップ、Magic Shields(マジックシールズ)の骨折予防対策床材だ。「ころやわ」の名の通り、高齢者の転倒時の衝撃をフローリングの約半分に抑える効果があるという(関連記事:6代目王者は「転ぶと柔らかくなる床」、6社が挑んだ最終審査)。

 木目調で置くだけのマットタイプトと、床全面や一部に設置する設置タイプがあり、どちらも既存の床に設置できます。歩行時や車いす使用時には床の沈み込みが少なく、転倒時には大きく沈み込み、大腿骨の骨折リスクを軽減する衝撃吸収性を実現するとしています。ころやわ内部の「可変剛性構造体」が衝撃を受け止めます。現在は病院や高齢者施設などに導入されています。

 Magic Shieldsの代表取締役を務める下村明司氏は、ヤマハ発動機でバイクの機械設計やデザインシンキングに携わってきました。バイクレースで親友を亡くしたことをきっかけに、「人を守る」発明活動を始めました。理学療法士と出会い、「転倒の衝撃を和らげる床」のアイデアを思いつき、ヤマハ時代の発明品であるロッククライミングの転落・転倒の衝撃を和らげるマットのノウハウをヒントに事業化したそうです。

 国内の65歳以上の高齢者人口は2020年9月15日時点で3617万人と、前年推計に比べて30万人増加し、今後も増える見通しです。高齢者の健康寿命を少しでも伸ばすような商品には、大きなビジネスチャンスが広がっています。

(タイトル部のImage:arkgarden -stock.adobe.com)