確実に、時計の針は進んだ。「アプリを処方する時代へ」という“未来”を語っていたのは今や昔。その時代が目の前に迫って来ている中で解決すべき“現実”に、論点は移っている。

 こんな文章で締めくくった記事「『アプリを処方する時代へ』はもう古い」を筆者が執筆したのは、今年2月のこと。あれから4か月。ついに、治療用アプリが、国内で初めて薬事承認されることになった。

 先週金曜日に開催された厚生労働省の部会で、CureAppが開発したニコチン依存症治療用アプリの薬事承認が了承されたのだ(関連記事:治療用アプリ、国内初の薬事承認へ)。筆者は同日夜に都内で開催された同社の緊急会見に駆け付けた。コロナ禍後に初めてリアルに出席した記者会見が、起業した2014年から追い続けている同社の大きな節目の話題だったのはとても感慨深い。

 くしくも先週、世界経済フォーラムは2020年のテクノロジー・パイオニアの1社としてCureAppを選出したばかり。日本企業で今回選出されたのは、同社とABEJAの2社のみ。過去には、Airbnb、Google、Kickstarter、Mozilla、Twitterなど、その後急成長を遂げた企業もテクノロジー・パイオニアに選ばれている。

 昨年10月には、米国の調査会社CB Insightsが、ヘルスケア業界を再定義するスタートアップ企業150社を取り上げた「Digital Health 150」を発表。日本からはCureAppが唯一の選出だった(関連記事:これがヘルスケア業界を再定義するスタートアップ150社)。

 今や世界的に注目を集める国内発ヘルスケア系スタートアップになった。同社の行方は、他の多くの国内スタートアップ、ひいては国内ヘルスケア産業の今後に与える影響も少なくないだろう。仮にも同社の事業が順調に進まないとしたら…。

 CureAppは今夏に厚生労働大臣名の正式な薬事承認を受けた後、公的保険適用の希望を厚生労働省に提出する考え。今回のアプリがどのような保険点数として評価されるのか。それは前述の「『アプリを処方する時代へ』はもう古い」でも触れたとおり、今後の産業発展を占う重要な里程標となる。


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