仕事がら全国各地を訪れることが多いのですが、いつも感じるのは食文化の多様性です。農産物や水産物など地域の食材だけでなく、調理法や地域の歴史・風土を物語るソウルフードなど、訪れるものを楽しませてくれます。

 地域の食と健康との関係を考えるとき、まず思い浮かぶのが塩分摂取量の地域差です。1日当たり10.6g(男女平均)の東北や10.7gの塩分を摂っている北陸など、総じて北の地域は塩分摂取量が多く、四国地方や西日本の方が少ない傾向があります(厚生労働省『令和元年国民健康・栄養調査報告』)。面白いのは、関東地方の中では、人口の多い東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県(10.5g)の方が、群馬・栃木・茨城(9.8g)よりも多いところです。これは男性の摂取量が前者は11.3g、後者が10.8gと差があることが原因です。

 こうした塩分摂取量と地域の食文化と暮らしの関係を考えていくと、いろいろな想像が広がります。それはそれで楽しいのですが、ここでは「そもそも塩分はどのような食べ物から摂取しているのか」をみてみます。

 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所が2017年5月に出した『日本人はどんな食品から食塩をとっているか? ―国民健康・栄養調査での摂取実態の解析から―』によると、「食塩摂取源となっている加工食品のランキング(20歳以上)」は、1位がカップめん、2位がインスタントラーメン、3位が梅干しです。以下、高菜の漬物、きゅうりの漬け物、辛子めんたいこと続きます。

 非常に大雑把にいうと「塩分の多くはラーメンと漬け物から」摂っているとみることができそうです。地域との兼ね合いでいえば実際、ラーメン好きには地域性があり、総務省の「家計調査」では、中華麺の家計支出金額は山梨、岩手、宮城、青森が上位に来ており、四国地方の高知県、徳島県が最下位を争っています。

 ラーメン好きと塩分摂取量の地域差になんらかの関係はありそうですが、このままではラーメンがどうも悪者に見えてしまいます。実は、インスタントラーメン、カップ麺はこの“汚名返上に向け”進化しています。だしのうまみを増すことなどで塩分を抑えた商品が各社から合わせて数十種類発売されています(一般社団法人 日本即席食品工業協会の「塩分が気になる方へ」)。

 減塩ではありませんが、最近では低糖質・高たんぱくなどの健康機能性を付加したカップ麺が登場してヒット商品になっています。健康に良いものは売れる。この動きは、ラーメンの“健康化”をさらに加速し、ラーメンの未来に大きな影響を与えるようになるでしょう。現状では、減塩化は大手メーカーの間では一段落した感がありますが、市場をみるとまだまだ進化する余地もあり、売れる余地のあるジャンルだと筆者は考えます。

 食品の塩分を減らす王道は、うまみを感じるようにして満足度を上げることです。全国各地には独自のうまみを持った発酵食品などがたくさんあります。きっと将来、これらをうまく取り入れた「ご当地・健康ラーメン」が登場して新しいヒット商品になるのではないかと予想します。

(タイトル部のImage:arkgarden -stock.adobe.com)