「人か、AIか」ではなく、「AIを使う医師か、使わない医師か」で、医療の質が大きく変わる時代になったわけです――。先日掲載した記事「AIで“日本人の乳房”の問題を解決する」で紹介した、AIを活用することで診断精度をより高めようという取り組み。湘南記念病院乳がんセンター 副センター長で医師の井上謙一氏は冒頭のように語ります。

 いわゆる“医師 vs AI”という話題が盛り上がりはじめた数年前。当時は、「AIは医師を凌駕するのか」といった議論がなさられがちでした。しかし最近では、AIの進化と対峙するのではなく、それを正面から受け入れ、その上で医療全体をどう再構築していくのかという、まっとうな、かつ落ち着いた議論が目立ち始めたと感じています。

 AIをプレーヤーの一人として加え、それぞれの役割分担をどう再定義していくか。「これが“AI問診”の効果、『問診時間が1/3に』」の記事にもあるように、本来は医師がやらなくても良い業務を切り離していくというのもまた、今後のAI活用の方向性でしょう。

 「藤井聡太七段に見る、人とAIが教え合う新時代」で紹介したように、今年の日本医学会総会では、第15代 人工知能学会長も務めた公立はこだて未来大学 システム情報科学部 教授の松原仁氏が登壇。物心ついたときから賢いAIを道具としている“AIネイティブ世代”として将棋の藤井聡太七段の強さを挙げ、「進歩したAIを我々人間がいかに受け入れ、どうAIを使いこなしていくのか問われているのだと思う」と指摘しました。

 先日まで全10回にわたって連載してきた「【特集】AI×ゲノミクスでがんに克つ」をはじめ、Beyond HealthではAIを道具(ツール)として用いた新たな医療・ヘルスケアの姿を引き続き追い続けてまいります。「#AIに関する記事」のページでも、関連記事を一覧できますので、ぜひご注目ください。


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