コロナで顕在化した「生理の貧困」の話題や、我が国のジェンダー・ギャップ指数の低さへの落胆、健康経営の推進の加速など、様々な要素が相まって、このところ「生理(月経)」という言葉を新聞やテレビでもよく見聞きするようになってきている。

 加えて7月9日には、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2021」に基づいて厚生労働省が出した「不妊予防支援のパッケージ」の中で、職場や学校などで、月経痛の早期発見のための施策を打つことなどが提案された。「生理」や「生理痛」などにますます社会の目が向くと思われる。

 そんな中で気になっているのが「生理休暇」だ。生理休暇は労働者の権利であるが、「会社にそんな制度があることを知らなかった」という消費者調査の結果が報じられたり、「あっても会社に申請しにくい。言い出しにくい」という声も多く、制度運営面での問題点を指摘する論調も増えてきている。

 実際のところ、生理のある半数~7割の女性が毎月、生理痛やPMS(月経前症候群)などの生理にまつわる症状に悩まされており、寝込んだり、立ち上がれないほどつらいという人もいる。本人にとっては、毎月、大変な苦痛である。一方で、生理の不調で仕事の効率が通常時の半分以下に落ちるという調査もあり、企業にとっても生産性の低下の問題は無視できないレベルだ。

 労働者保護の観点から、生理休暇の申請を却下することは法令違反となるが、生理のある間ずっと毎月、生理休暇の取得を認めるのも、取り続けるのも、企業、働く側の双方にとって現実的ではないような気がする。

 では、どうすればいいのか?

 生理の症状がつらくて生理休暇を取る人に、企業が産婦人科の受診を勧めてみるのはどうだろう。たとえば、生理痛に悩んでいる人の多くは、市販薬でその場しのぎの対応をしており、きちんと治療を受けている人が少ないことがわかっている。

 一方、産婦人科には、症状を軽快させる治療法があり、つらい症状の後ろに病気があるかどうかも確認できる。生理痛の原因が子宮内膜症という病気であることも多く、それを放置すると不妊にもつながるため、早期に治療を受けることは将来の不妊症を食い止めることにもなるわけだ。

 生理休暇を受診・治療にあてれば、本人の苦痛は減るし、職場に迷惑をかけているという精神的な負担も減る。また、初診以降の通院の頻度は3カ月に1度程度となることが多く、ただ、つらいからと休んで対症療法をするのと比べ、休みを取る頻度も、日数も減ると期待できる。企業にとっても、従業員の健康維持と、労働生産性向上の2つが得られるという点で朗報だ。

 今の日本では、多くの女性が産婦人科は妊娠した人が行く場所だと思い込んでいるが、諸外国では産婦人科は初潮を迎えた以降の女性の健康を守るゲートキーパーの機能を果たしている。早くから産婦人科のアドバイスを得て自分の健康を守ることは、女性が主体的に生きるためにも重要なポイントだ。また、女性活躍を進めるためにも、企業が女性の健康支援策として産婦人科受診という最初の一歩を踏み出す機会を提案すること自体、大きな意味があると考える。

 ぜひとも、生理休暇と産婦人科の受診勧奨を組み合わせた上手な運用法を検討してみてほしい。

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