神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が元職員により殺傷された事件から、7月26日で4年目を迎えました。

 当時、ヘリコプターから空撮された映像がたびたび報道されていたので記憶に残っている方は多いと思いますが、施設が位置するのは人里離れた山間の地。収容定員は200人ほどで典型的な郊外型の大規模施設でした。

 その映像を目にしながら、筆者が同じような建物だなと思い起こしたのは、取材で何度か訪れた複数の精神科病院でした。中でも、大半が長期入院患者の「精神療養病棟」を持つ病院はそうした山間の地にあることが少なくなく、関東近郊の移動でも半日がかりということはよくありました。山の中を進んでいくと突如大きな建物がドーンと現れるイメージです。

 さて、これらの施設がともに同様のロケーションにあるのは、偶然でも何でもありません。かつて日本は障害のある人とない人を分ける分離政策が中心で、1960年代には、「障害者を保護し家族の負担を軽減する」という国の方針の下、各地に大規模施設が次々と建設されるようになりました。1964年設立の津久井やまゆり園はまさにそうした施設のひとつでした。

 ところが、障害者の保護をうたいながらも、実質的には障害者を郊外の地にある意味、閉じ込める形で地域から切り離す「隔離政策」だとして批判が高まると、国は遅ればせながらも政策を転換。障害者が大規模施設ではなく、小規模の施設などで地域にとけ込んで暮らす「地域移行」を推進するようになりました。

 さらに最近では、「地域共生社会」というフレーズが盛んに使われるようになっています。これは現在、国が進める福祉改革の基本コンセプトとして掲げているもので、子ども・高齢者・障害者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り高め合うことができる社会を目指しています。障害があってもなくても、互いに人格と個性を尊重し合い、支え合いながら未来を築いていくという内容です。

 地域づくりのキーワードは「我が事・丸ごと」です。「我が事」は困った人の問題を我が事と受け止めて行動できる住民を増やすこと、「丸ごと」は広くすべての地域住民に対する総合支援体制を整備することです。

 この「我が事」「丸ごと」が実現すれば、社会システムは確実に一段階ステップアップするはず。けれど、まだまだ他所事・他人任せが横行しているのではないでしょうか。やまゆり事件後も福祉に関する痛ましい事件は後を絶たず、個人的にいろんなことを考えさせられています。


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