「ヘルパンギーナ、今年は異例の少なさ」──。お盆の休暇中、自宅に届いた『日経メディカル』8月号をパラパラとめくっていたら、こんな見出しの記事が目に留まった1)。ヘルパンギーナとは、6〜8月にかけて乳幼児を中心に流行する夏かぜの代表格として知られる感染症。2020年第30週(7月20〜26日)の定点当たりの報告数は0.40人と、例年に比べ異例の少なさだ(図1)。

図1●ヘルパンギーナと手足口病の定点当たりの年度別報告数(出所:IDWR 感染症週報 2020年第30週:通巻第22巻第30号、図2も)

 情報の出所は厚生労働省・国立感染症研究所が毎週発表している感染症発生動向調査で、そのほか、手足口病、感染性胃腸炎、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎といった、夏季に流行のピークを迎える感染症も軒並み、例年の報告数を大きく下回っている(図22)

図2●定点把握疾患の報告の過去5年間の同時期との比較(第30週)当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)との差をグラフ上に表現した。

 これら感染症の多くは、主に手を介した接触や人が密集する場所で感染が広がることが知られている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防のための手洗いやうがい、マスク着用の習慣化、「3密」の回避など新生活様式が、その他の感染症の予防につながったからだろうか。あるいは、COVID-19の院内感染を恐れて、症状が出ても受診せず、自宅療養や市販薬服用などで済ませているため、医療機関からの報告が上がってこないせいだろうか。