先週のEditor's Noteで編集長が述べていたように、情報の深掘りと網羅性の両立を目指しているBeyond Health。当メディアの売りとして、私がもう一つ付け加えるなら、それは「エビデンス(根拠)」に基づく情報発信です。5月オープン時からの連載コラム「デジタルヘルスのエビデンス」は、その代表例です。

 そもそも医学・健康科学領域でよく使われるエビデンスという言葉は、Evidence-based Medicine(EBM:根拠に基づく医療)という医学用語から来ています。先輩からの言い伝えや一ユーザーの経験・感想ではなく、専門家の意見や症例報告、様々なデザインや規模で実施される臨床(研究)試験の結果を指します。臨床領域で診療ガイドラインが作成される際などには、表1のようなレベル分類が使われています。

表1●エビデンスのレベル分類(Beyond Healthが作成)

 エビデンス=臨床試験の結果と捉えている人もいるようですが、ランダム化比較試験に比べればレベルは低いものの、レベル6の「専門家個人の意見」やレベル5の「症例報告」もエビデンスの一つに他なりません。

 あるテクノロジーをBeyond Healthの記事で取り上げる際も、エビデンスがどの程度あるかという点を常に考慮しています。一例を挙げると、過去に「あの『線虫』、がん検診の流れを再編するか」という記事を掲載しましたが、「線虫」と聞いて「なんて非科学的な」と思われる人もきっといるでしょう。

 ですが、記事を読んでいただければ分かるように、研究者らが線虫をがん検診に応用しようとしている背景には、これまで多くの生物学者が線虫を実験動物として利用してきた実績と、腫瘍成分を識別する線虫の嗅覚受容機構に関する基礎研究の成果があります。そして、その有用性を確かめた臨床研究の論文は、領域の異なる専門家たちのレビューを経て幾つもの専門誌に掲載されています。そんな学術データに加え、学会等でも専門家同士の議論を聞きながら、検診分野にイノベーションを生む可能性を大いに感じ、記事化しました。実際、掲載後は多くの読者からSNS等で評価・シェアされ、これまで公開した記事の中で2番目に多く読まれた記事となりました(ちなみに、最も多く読まれている記事はこちら)。

 さらに先週からは、「海外トピックス」として、専門家たちのレビューがしっかりしている海外医学誌・学会ソースから、エビデンスに基づく健康・医学情報をピックアップして発信しています。米国の情報企業Scout News,LLCが配信する医療関連情報HealthDay Newsの中から、健康・医療分野のイノベーションやbeyond healthにつながりそうなニュース記事を厳選し、日本語に翻訳・要約してお届けしていきます。こちらにもぜひご期待ください。

(タイトル部のImage:arkgarden -stock.adobe.com)