地域によって差はあるものの、都市部のコンビニエンスストアでは多くの外国人の方が働く光景がすっかり当たり前になった。店員の数が日本人を上回る店舗も珍しくない。それもそのはず、2018年の時点で、コンビニで働く外国人スタッフの数は、5万5千人超、全国のコンビニ店舗数とほぼ同数という。つまり、平均すると全店舗に1人は外国人スタッフがいる計算になる。

 コンビニになぜ外国人スタッフが増えているのか? 筆者はその分野に詳しくはないので、ここでこれ以上の分析・検証は避ける(正直言うとできない)が、他のある分野は外国人材の活用がこれから先の大きなカギを握るはずで、その行方が非常に気がかりでもある。ずばり介護分野の話だ。

 介護分野における外国人就労に関しては、日本はEPA(経済連携協定)に基づき、2008年からインドネシア、フィリピン、ベトナムから外国人介護福祉士候補の受け入れを開始。その後、2017年からは介護福祉士の資格を持つ在留資格「介護」や技能実習制度が拡充され、今年4月からは新たな在留資格「特定技能1号」の制度も創設された。これらは一口に言えば、介護現場が外国人材を雇用しやすくする制度にほかならない。

 介護現場が人手不足に苦しんでいるのも事実。だからこそ政府は様々な制度を作ってきたわけだが、現場の反応はと言えば、外国人材の活用にはまだまだ後ろ向きなところが少なくない。

 その理由はと言えば、制度がわかりにくい、外国人介護職員が提供する介護サービスの質に不安がある、利用者や家族が不安がる恐れがある、日本人スタッフとうまくいかないのではないか、外国人の生活慣習などがわからないのでどう対応すればいいかわからない――というのが主なところだ。

 ただ、どうだろう。もしかしたら案ずるばかりではいやしないか。

 厚生労働省が昨年実施した外国人介護人材の受入れに関するアンケート調査によると、すでにEPA介護職員を雇用している介護施設では、「今後も外国人材を受け入れる予定」が 78.9%と、ほぼ8割を占めた、今後の受け入れにも積極的な施設が多く、それだけ満足度が高いことになる。

 実際、そのうちとある施設が非常に興味深い取り組みをしていた。外国人材を受け入れた結果、当初、確かに日本人スタッフとの衝突が少なからずあった。日本語が十分にできないのに、そういう人材を現場で働かせるのはおかしいし、そもそも勤務時間中に日本語を学ばせているのは問題だと、現場介護職からマネジメント層に対して不満が噴出したのだ。

 ところが、当事者の外国人スタッフはいつもニコニコしていて、利用者でファンになる人がどんどん増えていった。それでいつしか遊びの中で利用者に英語を教えるようになり、その家族にも情報が伝播。すると、「地域のこどもたちに英語を教えてほしい」との話がトントン拍子で決まった。

 その結果、毎週土曜日に介護施設で外国人介護職員による地域の子供たちへの英会話レッスンがスタート。付き添いで来ていた子供の父親・母親は初めて介護施設の現場に足を踏み入れた。当初は、手持ち無沙汰だったから自身のスマートフォンをいじるのみだったものの、はつらつとして英語を学ぶ子供の姿に施設へ関心を寄せるようになり、人手が足りないなのらばと施設ボランティアを引き受けたり、休日を利用して一定の対価を受け取って利用者に対して自分の得意分野の講座を持ったりするようになった。そのボランティアや講座が話題を呼んで、また人が集まって新たな活動が広がるという循環につながった。いまではその介護施設を起点に様々な地域コミュニケーションが広がる。

 そんなことが現実に起きているのである。

 外国人材の受け入れで、実は介護施設にはこれまでにない新たな可能性が手に入れられるかもしれない。外国人材の活用を案じているだけでは何も始まらないのも事実。もし外国人の雇用を何となく敬遠しているだけなら、制度の詳細を知るところから始めたい。