筆者は今、今年11月発行予定の書籍『100年ライフのサイエンス』の編集作業を進めています。1963年に153人だった日本の100歳人口は、2020年8万人を突破。2050年には50万人超の推計もあり、これは現在の鳥取県に迫る数です。

 本書は、本格的な100年ライフ時代を前にして、抗加齢研究の最前線と健康寿命延伸のアプローチに迫る“解老新書”。「100年を健やかに生きるエイジング法」を探りました。

 日本人に足りない栄養素であるビタミンDの実力、睡眠負債(SLEEP Debt)など睡眠と長寿の関係、新型コロナウイルスで注目度が増した免疫、日本人の介護原因首位となっている認知症やフレイル対策、世代を超えてのエイジングであるDOHaD学説など、取りあげたテーマは多彩ですが、特に興味深かったのが抗老化研究の今です。

 人は何歳まで生きられるか? 現在科学の寿命の定説は122歳のようですが、若さの維持に影響の大きいサーチュイン遺伝子、抗老化物質として期待が高いNMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)、がんや老化の予防法や治療法への可能性が指摘される細胞老化の解明など、エイジング研究は今、ライフサイエンスで最も熱い研究領域の1つ。慶應義塾大学医学部の早野元詞特任講師は将来の研究テーマとして、「寿命150歳、健康寿命120歳までの延伸の可能性」を挙げています。

 3月からスタートした取材の多くは、ZOOMなどビデオ会議システムを利用しました。当初、不安と緊張しかなかった同システムによる取材は、振り返るとメリットも感じます。

 協力を得た専門家16人は、皆さん国内第一級のエイジング、ヘルスケアの研究者、賢人たち。うち8人は首都圏以外の在住者で、リアルでは実現しづらかった顔ぶれです。コロナ禍によるビデオ会議システム活用による取材の広がりは、メディアの可能性を広げる方に向くかもしれません。

(タイトル部のImage:arkgarden -stock.adobe.com)