日本は世界有数の森林国ということをご存じでしょうか。実に、国土面積の約3分の2を森林が占めています。その約4割がスギやヒノキなどの人工林です。

 日本の森林は、戦中、軍需物資として大量の木材を必要としたために大規模に伐採されました。戦後も復興のために大量の木材が必要となり、さらに伐採されました。結果、森林は大きく荒廃してしまいました。

 そこで各地で盛んに行われたのが、森林をよみがえらす植林です。毎年春に開催される全国植樹祭をニュースで見た人も多いと思います(2020年は延期)。そうした取り組みによって、現在、人工林の半数以上が利用期を迎えるまで育っています。

 スギやヒノキは主に住宅の建築材料として使われます。ただ日本は少子高齢化や人口減少が加速度的に進んでおり、住宅着工戸数の低下は免れません。今後、木材需要の大幅な増加を見込むことは難しいのが現実です。

 では、せっかく利用できるようになった木材をどう活用すればいいのでしょうか。2010年に施行された公共建築物等木材利用促進法によって、公共建築物での木材利用が広がっています。民間でも、これまで木造であまりつくられてこなかったオフィスビルやマンション、病院、ホテル、コンビニなどを木造化・木質化する動きも始まっています。

 木は温暖化ガスである大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収して成長します。木材を建物に利用すると、吸収したCO2のうち木材に残った炭素は建物に貯蔵されることになります。「持続可能な開発目標(SDGs)」への対応や、環境・社会・企業統治を重視する「ESG投資」に配慮したい事業者にとって、木材利用は企業姿勢を示す経営戦略の一つになり得ます。

 ところで、建物を木造にしたり、内装を木質にしたりすると、どのような効果があるのでしょうか。木材に囲まれた空間は自然と落ち着き、心身の健康にプラスの効果があると言われています。癒やし、ストレス低減、免疫力アップ、リフレッシュなど。仕事や勉強の作業性、効率性が高まる効果も期待できると言われています。

 そうした効果を科学的に検証するため、林野庁は2020年度に「内装木質化等の効果実証事業」を実施しています。内装を木質にすることでどのような効果が得られるかを、実際のプロジェクトで明らかにしようという意欲的な試みです。筆者も検討委員会の委員として審査に参加しました。

 22件の応募があり、13件の提案が9月14日に採択されました。「内装木質が小児患者等に及ぼす効果」「カフェ店舗の内装木質化による経済的効果等の実証」「オフィスの木質化における高齢層労働の生産性向上の実証について」など、興味深いテーマが並んでいます。2021年3月の報告会では実証事業の成果が発表される予定です。

 内装木質化等の効果実証事業について、詳しくはこちらをご覧ください。

(タイトル部のImage:arkgarden -stock.adobe.com)