先日、あるコンサルタントに「5G(第5世代移動通信システム)」をテーマとした取材をする機会があった。5Gが普及する2020年代に想定される社会や企業の変化を聞いたのだが、これまでには全く想定していなかった要素として話題に挙がったのが、「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)」。

 そのコンサルタントはドローンを例に挙げ、1年前には「未来話」だと考えていた用途がCOVID-19によって次々と現実になっている、という話を展開した。具体的には、外出禁止時の市中の見回り、無人除染、医療物資の輸送などである。いずれも、効果や不具合を検証するどころではなく、必要に迫られて一気に実用化に踏み切ったというわけだ。

 ドローン以外にもこうした「未来の前倒し」は、リモートワーク、紙文書やハンコの撤廃、オンラインセミナーの拡大など至るところに見ることができる。筆者が注目しているのは、映像分析の時代の前倒しだ。

 COVID-19対策として、検温用のカメラとモニターを常設するオフィスや小売店が急増している。ここで使われるのは、赤外線を使ったサーマルカメラ(サーモグラフィカメラ)だが、「入場時に撮影されることに対する抵抗感が減った」という事実が大きい。2019年以前、我々は至るところで撮影される仕組みを簡単に受け入れただろうか。

 現在は、サーマルカメラと顔認識機能を組み合わせたカメラが発売されており、検温と入館可否を同時に行うこともできる。入館に合わせた割引クーポンの発行など、入館者に絞った情報提供やサービス提供もできるようになっている。

 ヘルスケア領域について言えば、「体調に合わせたフードデリバリーサービスの提案」「健康状態に応じた人間ドック受診の推奨」といったサービスも視野に入る。こうしたサービスは、Beyond Healthが描いている「Beyond Home」「Beyond Office」の世界観を体現するものにほかならない。

 5GやWi-Fiがますます広がる今後、大容量の映像データは送りやすくなり、サービス提供のリアルタイム性は一段と高まる。映像を活用した新たなヘルスケア関連サービスがさらに生まれ、拡大することを期待している。

(タイトル部のImage:arkgarden -stock.adobe.com)