都道府県別に魅力度を調査したランキングを受けて、群馬県知事が調査会社に文句を言うという出来事がテレビのワイドショーで取り上げられていました。こうした調査はさまざまな形で実施されていますが、「魅力度」や「幸福度」は、そもそもどのような物差しで測ればいいのか決めること自体が難しいところがあります。

 ただ、地域の魅力度や幸福度を測るうえで、その土地に暮らす人々が健康であるという要素はとても大きいのではないかと私は思います。仕事柄、全国各地を訪れますが、風光明媚で食べ物がおいしいところは日本中どこにでもありますし、観光で訪れるのに魅力的な名所旧跡も一度行ってみればそれで十分といったものが多くあります。個人的な見方だと思いますが、何度も足を運びたくなる地域は、やはりそこに暮らす人たちの魅力に依るところが大きいと感じます。

 「人間の魅力」というさらに評価したり測ったりするのが難しいテーマについて、これまた個人的に思うのは、経済的な豊かさもですが、どちらかといえば地域に対するプライドや住みやすさ、健康に暮らしやすい環境といった要素が、その地の人々の魅力につながっているということです。

 健康な暮らしがそこにあるかどうかを地域別に見る1つの視点として健康寿命や平均寿命を見てみます。健康保険中央会が発表している「平均自立期間・平均余命 都道府県別一覧」によると、要介護2以上を不健康な状態とみなして平均自立年齢を調べたところ、男女とも長野県が最も長く(男性81.1歳、女性84.9歳:令和元年度)、滋賀県や大分県、奈良県などがこれに続く健康・長寿地域となっています。

 長く健康でいられる原因は、気候や食べ物、生活習慣などさまざまあり、どんな要素がどれくらい寄与しているかは単純には言えないと思います。また、地域によって健康・長寿を支えている理由が異なっているかもしれません。長野県では住民の健康寿命が長いことを自治体が強く意識しており、以前から健康長寿プログラムに取り組んでいます。こうした施策の成果が現れているのかもしれません。ちなみに長野県は移住したい自治体としてもずっとトップクラスを維持しています。

 先ほど紹介した平均自立期間と平均余命のデータを基に「平均余命」から「平均自立期間」の値を引いて差を計算してみました。非常に粗い見方ですが、自立期間後の介護が必要な年数を表しているとも考えられます。その結果、男性、女性ともにもっとも期間が短かったのが愛知県(男性1.1年、女性2.3年)で、最も長かったのは京都府と沖縄県でともにその差は男性1.9年、女性4.0年でした。

 健康な状態で長く暮らすことに加えて、その後介護が必要になった期間をどのように暮らすのかは、それぞれの地域で医療・介護の体制がどれだけ整っているかにもかかわってきます。それぞれの地域に実際に暮らしている人がその地域の暮らしやすさに対してどのような実感を持っているかを調べた調査を日経BPが実施しています。生活の利便性や子育てのしやすさ、医療・介護の充実度、街の活力などを39項目にわたって調査したものです。

 この調査で、都道府県の県庁所在地ごとに住みよい街を評価したランキングを見ると、総合順位の上位は、1位が福岡市、2位は松山市、3位札幌市、4位神戸市となっています。医療・介護に関しての項目だけに注目して住民の評価が高い都市をあげると、1位は佐賀市、2位は那覇市、新宿区(東京都)、4位が札幌市という結果になりました。ご興味のある方はぜひこちら「シティブランドランキング2021」をご覧になってください。

 住民の健康に対する自治体の努力は、長い目で見れば地域の活力を増し、魅力を増すことにつながるのではないかと私は考えています。現状のランキングに不満があるなら、自治体トップは、まず住民の医療・健康に対する施策を充実させるところから手を付ければいいのにと思います。

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