空腹時血糖値より食後血糖値が先に上がる

 CGMやFGM、血糖トレンドの測定は、糖尿病を発症する前の段階、すなわち未病状態の発見、早期介入・行動変容の観点からも非常に重要です。2型糖尿病の人を遡ると、発病する10年以上前に、筋肉などの末梢組織のグルコース取り込み量が減少する「インスリン抵抗性」が最初に起き、徐々に増大することが近年の研究により分かっています(図2)。初期は、インスリン抵抗性が増大してもインスリン分泌が代償的に高まることで血糖は見かけ上安定していますが、そのうち活性酸素や糖毒性の発生などで膵臓β細胞が障害されインスリン分泌が徐々に低下していき、代償できなくなると食後高血糖が先に現れ、次いで空腹時血糖が上昇し糖尿病を発症します。

図2●2型糖尿病の病態の自然史(出所:日経メディカル2014年3月号、原典:Kendall DM et al.Am J Med 2009;122:537-50.)

 CGMやFGM、血糖トレンドで血糖変動が激しくなる段階は、インスリン抵抗性の増大に対してインスリン分泌の代償機構が限界に達して血糖値の見かけ上の安定が崩れ始めている未病状態と考えられます。この段階で、インスリン抵抗性増大の原因となる肥満や過食、飲酒習慣、筋肉量の低下などを、食生活の行動変容により改善できれば糖尿病への進展を阻止できます。

 CGMやFGM、血糖トレンドを測定する手段としては、低価格の持続血糖測定器具としてFreestyleリブレPro(CGM)とFreestyleリブレ(FGM)が保険適用され、医師の管理下で使用されていますが、未病段階での早期介入の観点からは今後、医療機関に受診せずとも家庭で使える、アプリと簡易測定器やウエアラブル機器などを組み合わせた安価なデバイスの登場が待望されます。これまでBeyond Healthで紹介してきた「指に光」で血糖を測定する器具プッシュボタン式採血器などはその有力候補かと思います。そんなテクノロジーの萌芽をこれからもどんどん見つけて取材していきますので、ご期待ください。

(タイトル部のImage:arkgarden -stock.adobe.com)