中国のデータ流通や活用への関心が高まっている。11月24日付の日経新聞朝刊は、中国における国内外でやり取りされるデータ量の総計が、米国を抜いて世界一になったと報じた。ヘルスケア分野でも、中国のデータの流通や活用が注目される。

 「新しい時代の幕開けですね」。知己のヘルスケアビジネスの関係者がこう言及したのは、中国最大手の保険会社である平安保険グループと、日本の塩野義製薬による資本業務提携と合弁会社設立という動きに関してだった。

 「平安グッドドクター」というアプリを通じたサービスをご存知の方も多いのではなかろうか。平安保険が中国で提供しているもので、人工知能(AI)とチャットをしながら問診し、体に異常があれば、医師の紹介もしてくれる。オンライン診療も可能だ。中国国内で、実に3億4600万人が利用している。もちろん同国最大のヘルスケアアプリだ。顧客との関係性において、保険金の授受という「点」でのつながりではなくて、日々アプリを通じて、あらゆる角度から健康を提供するという「面」でのつながりで、顧客を増やした(関連記事:中国や欧米のオンライン診療、新型コロナでこう動いた)。

 平安保険と組んだ塩野義が、2020年6月に発表した中期経営計画には、こんな文字がある。

 HaaS──。ヘルスケア・アズ・ア・サービスの略称で、ハースと読む。まだ一般的な用語では恐らくない。移動の分野で数年前から、MaaS(マース、モビリティ・アズ・ア・サービス)という概念が広まったが、それのヘルスケア版だと思ってもらえればいい。

 投薬をして、病気やケガを治す。患者に対して、こうした点でのサポートではなく、ヘルスチェックや予防あるいは食品といったヘルスケア領域全般のサービスを提供することで、患者との新たな関係をつくっていく。そんな思いが詰まった用語だろう。

 もちろん塩野義は、創薬にも生かす。同社の自社創薬の比率は6割と極めて高く、その特徴も提携でさらに伸ばす。平安保険のデータは中国から持ち出せないが、日々のヘルスチェックなどで集まるビッグデータの特性を理解し、これをAIで分析することを得意とする人材が平安保険にはたくさんいる。病気にかかっていない状態の健康データの扱いにも理解が深い。そうしたリソースを、活用したい考えだ。

 なお、こうしたヘルスケア領域のDX(デジタルトランスフォーメーション)やデジタルシフトを配信動画にまとめた「Online Business Salon 45min.」が12月2日(水)から始まる。ご覧いただきたい。

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