新型コロナウイルスとの闘いが長引き、多くの医療機関が経営難にあえいでいる。日本病院会などの病院3団体が先月公表した病院経営状況の調査結果によると、今年7~9月の収支は、4~6月と比べやや改善するも、半数の病院が依然赤字だった。診療所も同じく苦しい状況で、日本医師会の調べでは、今年8月の外来患者数は、去年の同じ時期に比べて、8.0%の減少となった。

 こうした状況は、医療機関の経営層にとって頭の痛すぎる課題だ。悩めるからか、筆者はこんな問いかけをされたこともある。

 「この後、どのぐらいの期間でコロナが収束して、患者が戻るとみているか?」
 「患者に再び来院してもらうにはどうすればいいのか?」

 前者に関し、「神」でもない筆者は、コロナ収束の予測など、とても無理。またコロナが収束したところで、患者がコロナ前の水準にまで戻るとはどうしても考えにくい。その最たる理由は、コロナ禍での大きな変化として、医療機関への受診の仕方が大きく変わったためだ。

 コロナ禍以前には、必ずしも医療機関受診の必要性が高いとは言えない患者が、気軽に、ときに安易に医療機関を訪れ、「コンビニ受診」や「お年寄りサロン」と呼ばれるような診療実態があった。だが、そうした患者は、「医療機関は他の患者らに感染症をうつされるリスクの高いところかもしれない」場所であることに気づき、受診を控えるようになった。また、従来は「対面」が原則だった診療行為が、決して少なくない数の医療機関が電話等の診療を行うようになったため、患者はわざわざ医療機関に足を運ぶ必要性を感じなくもなった。こうして受療行動が明らかに変異してしまったのである。

 一方、後者の問いについては、筆者は記者として全国の医療機関での取り組みを取材しているため、好事例があれば、記事にするわけだが、どれもあくまでケーススタディーであり、もしかしたら(取材した)A病院だからうまくいったという側面がなきにしもあらずで、どの医療機関にも通用するスペシャルなプランを持ち合わせているわけではない。

 従って上記のような問いに対しては、こんな風に述べるしかないのだが、個人的にいつも感じているのは、医療機関は少なからず、自分たちは患者に対して何をするか、そして患者にはどうしてもらうかばかりをメーンに考えていやしまいか、ということだ。

 もちろんそれはとても大事なことであるものの、現在の国の施策を見ると、人生100年時代を支える「健康・予防づくり」に相当な力を注いでおり、健康状態を保てる場合にはできる限り患者にさせないことを目指しているのは明らか。そうである以上、医療機関として、患者のみならず、健康な地域住民を支える視点は極めて重要と言える。

 医療機関の中にいても患者はもう来ない可能性は十分ある。となれば医療機関の中から地域に出て何をするか、何ができるか、だ。その過程で、産業と共創するのも一法だろう。ワクワクするような新機軸の取り組みを筆者も知りたく、記事にすることを心待ちにしている。


(タイトル部のImage:arkgarden -stock.adobe.com)