食のイノベーションをテーマとしたイベント「日経フードテック・カンファレンス」を2019年から毎年開催している。フードテックの領域は近年注目を集める代替プロテインだけでなく、ロボットやAIなどデジタルを活用したものまで幅広いが、「食と健康」も重要なテーマの1つだ。

 言うまでもなく食と健康は切っても切り離せない。今回登壇した東北大学加齢医学研究所長の川島隆太教授は、健康寿命の延伸に向けた不動産デベロッパーとの取り組みを紹介した。マンション内に脳や体のトレーニングルームや健康食品を販売するスーパーを誘致するなどして、住民が無理なく健康長寿を達成できるよう支援しようというものだ。川島教授は、補助金に頼らない永続的な事業とするため利用者負担に対する理解も欠かせないと課題を挙げた。

 私自身も今年の開催を機に2021年のフードテックの動向をまとめ、クロージングセッションで報告した。今年注目した動きの1つは大手食品メーカーの動きが活発化したことだ。企業による投資会社(部門)であるコーポレートVCやスタートアップ企業の成長を支援するアクセラレータープログラムの設立などもあるが、健康領域でも目立った動きが見られた。

 例えば今回登壇したキリンホールディングスはスポーツジムと連携することで、トレーニング内容や目標に応じて適切なサプリメントを提供する実証実験を行っていることを報告した。さらに、電気信号で食べ物の塩味を強調する箸などの開発にも取り組んでいることも発表した。これにより塩分の取りすぎを抑えられる期待がある。

 このほか、今回のカンファレンスへの登壇はなかったが日清食品は「完全栄養食」の開発に取り組み始めた。見た目やおいしさは維持しつつ、カロリーや塩分、糖質、脂質、たんぱく質など日本人の食事摂取基準で設定された必要な33種類の栄養素をバランスよく全て摂取できる食事を開発する。既に同社の社員食堂で提供を始めており、一定の成果を得ているという。

 2022年も引き続き食のイノベーション領域への投資が活発であることが見込まれる。健康の維持向上に向けた各社の成果に注目したい。

(タイトル部のImage:arkgarden -stock.adobe.com)