求む、生活空間での“ラストワンマイル”

 第3のキーワードは、ポケットドクター。2022年は、リモートの波が医療・介護にもますます波及する1年になりそうです。

 ポケットドクターとは、生活空間のあらゆる場所が、あたかも医療・介護施設のようになることを指した言葉。筆者は10年以上前の2010年5月の特集記事のタイトルとして大きく取り上げましたが、昨今のコロナ禍を受けて流れが大きく加速しつつあります。

 その象徴が、オンライン診療。元々は初診NG/対象疾患限定などの制約があったところ、2020年4月にコロナ禍における特例としてそれらの条件が解除され、オンライン服薬指導も解禁となりました。2022年には、これらを恒久化する方向で調整が進んでいるところです(関連記事:オンライン診療は「次のステージ」へ)。

 リハビリをどこもでも受けられる、いわゆるオンラインリハビリもポケットドクターの流れの一つです。実際、様々なオンラインリハビリの取り組みが登場してきており、Beyond Healthでも数多く紹介してきました。

 こうしたソリューションの普及に重要だと考えられるのが、特に高齢者が自宅などの生活空間から簡単にアクセスできる環境づくり。例えば2021年に、CATV事業者であるJ:COMがオンライン診療のコンソーシアムを形成したのは、そのためです(関連記事:テレビでオンライン診療、高齢者への切り札になるか)。いわゆる、生活空間での“ラストワンマイル”を担うプレーヤーの役割が、ますます重要になってくると考えています。

“不老長寿”への足音

 第4のキーワードは、老化制御。2022年は、科学的根拠に基づいた研究成果にますます注目が集まる年になりそうです。

 老化制御とは、加齢に伴って起こる臓器や認知などの機能低下を抑え、健康寿命を延ばすことを指します。米Googleが、この分野に取り組むスタートアップ「キャリコ」を設立したことはよく知られていますが、最近になって様々な研究機関からの成果が国内外で発表され始めています。

 その一つとして注目を集めているのが、NMN。ニコチンアミドモノヌクレオチドという、食物成分です。ワシントン大学医学部の研究チームによる、ヒトに対する臨床試験の成果が米科学誌「Science」に掲載され、大きな話題となりました(関連記事:今井眞一郎ワシントン大教授が語る「NMN、抗老化効果の真実」)。

 他にも、注目を集めるキーワードとして「老化細胞」があります。老化を加速させ、様々な病気の発症に影響を与えていることが分かってきており、この細胞を除去する薬剤の研究成果なども出てきています(関連記事:老化細胞(ゾンビ細胞)の謎が分かった)。

 こうした研究成果が今後、社会に実装されるようになると、健康寿命が延び、自立度が高まる時代に向かいます。それに即した社会の仕組みや在り方とは――老化制御の研究の進展と並行して、それを議論していくことも重要になると考えています。