がん早期スクリーニングは“正しく”社会に実装を

 2020年1月、HIROTSUバイオサイエンスが、がん検査サービス「N-NOSE」の実用化を開始します。地球上にありふれた生物「線虫」を活用して、尿からがんの有無を判別するサービスです(関連記事)

N-NOSEでは線虫を活用する(写真:諸石 信)

 東芝は昨年11月に、血液1滴から13種類のがんを99%の精度で2時間以内に検出する技術の開発を発表しました。2020年から実証試験を実施するとしています(関連記事)

 こうした、がんの早期スクリーニング技術が社会にどう受け入れられていくのか。2020年はその重要な年になりそうです。

 HIROTSUバイオサイエンスのN-NOSEは、15種類のがんの「どれかがある」というリスクを判定できます。東芝が発表した技術でも同じく、13種類のがんのいずれかに罹患している可能性があることをスクリーニングします。

 つまり、がん種やステージは判定できません注)。この点をどうとらえるのか。立場によっては、負の側面も含めて様々な意見が出ているのは事実です。なお、HIROTSUバイオサイエンスは、あくまで本来受けるべきがん検診の受診率の低さを解消するための「1次スクリーニング」(同社)としての簡便・安価な検査サービスだと位置付けています(関連記事)

注)ただし、両社ともに、次のステップとしてがん種を特定できる技術の開発を検討している。例えば、HIROTSUバイオサイエンスは、すい臓がんをターゲットにした「特殊線虫」を早ければ2022年に実用化するとしている。

 こうした技術の特性が正しく理解され、正しく活用され、既存のがん検診のインフラと正しく連携されていけば、画期的な技術であることは間違いありません。その議論を深め、“正しく”社会に実装していくことは、2020年の大きなテーマなのではないかと考えています。