世界の栄養問題対策を議論する国際会合「東京栄養サミット2021」が、日本政府の主催で2021年12月7~8日に開かれた。参加したのは、オンライン形式を含めて80以上の国や機関、企業に上る。

 開会スピーチを行った岸田文雄首相は、途上国向けに今後3年間で3000億円以上の支援を行うと表明。併せてこうも宣言した。

「日本はまた、国内において、イノベーションやデジタル化の推進、科学技術も活用しながら、栄養と環境に配慮した食生活、バランスの取れた食、健康経営等の推進を通じ、国民の栄養状況を更に改善していく決意です」(スピーチ全文はこちら

 日本国民の更なる栄養状況の改善を国内外に誓ったわけだ。

 実際に、その一助とすべく厚生労働省による新たなプロジェクトが進行中だ。適切な栄養・食生活を支え、推進するための食環境づくりに向けて、産学官の連携体制を整備するという。

 それはどんな中身なのか。2021年2月から6月にかけて厚労省の検討会が議論を重ねており、その結果が反映される方向となっている。

 検討会報告書によると、優先して取り組むべき主な栄養課題として掲げたのは、①食塩(ナトリウム)の過剰摂取、②若年女性のやせ、③経済格差に伴う栄養格差──の3点。解決に向けては、厚労省が改善を呼びかけるだけではうまく進まないため、職能団体や学術関係者、食の提供者である食品製造事業者や食品流通事業者、さらにはメディアも加わって、消費者が「自然に健康になれる食環境づくり」を進めていくことが不可欠と結論づけた。

 例えば、減塩を商品にあえて表示せず、健康への関心が薄い人も意識せず買えるようにする。小売店では減塩商品を目立つ場所に陳列したり特売の対象としたりする。メディアに対しては、痩せていることが美徳だとしてダイエットをあおりすぎるような広告や記事の掲出を控えてもらう。

 厚労省はこの検討会報告書を踏まえ、自然に健康になれる食環境づくりに賛同する事業者を募り、一定の要件を満たす場合の組織体を構成。本組織体に登録した事業者には、毎年取り組み内容・成果を報告してもらい、専用ウェブサイトで公表していく。来年度にはスタートする方向だ。

 健康な食生活への関心が薄かったり、誤った知識を持つ層の意識改革を待つのではなく、事業者側がそうした人々の行動変容を促すお膳立てをする。要は、そんなイメージだが、どこまでそのコンセプトに賛同する事業者が現れるのか。減塩商品を作っても表示できない、価格転嫁できないということにもなりかねず、それなら事業者が協力するモチベーションは上がらないだろう。

 この先、事業者側がぜひ参画したいと思うような仕掛けがどこまで用意されるかが注目される。

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