残る課題克服のため「混合診療」の解禁も

 さて、現在は自由診療の不妊治療が保険適用となった場合、自己負担は原則3割になるとともに、高額療養費制度が適用されるため、一月の自己負担に限度額が設けられ、治療を望む人にとってはかなり経済負担が軽減される。

 もっとも、保険の範囲を超える高度な治療を受けようとした場合の課題は残る。健康保険法上、保険適用と自由診療の治療を同時に提供する、いわゆる「混合診療」は原則として禁止されており、現在は自由診療を併用すると、保険診療部分も含めて全額自己負担になるからだ。せっかく高度な医療メニューがそろっていても、オプションでそれを付けた途端、全額自己負担となるのでは、今までと何ら変わりない。

 それゆえ、厚労省では水面下で、不妊治療の領域では、例外的に混合診療解禁の余地も探っているもようだ。現行制度でも、一定の先進医療については、混合診療が認められているが、あくまで保険適用を前提としたものに限られる。したがって、別途ルールを作る必要がある。

 実際、この先、不妊治療の保険適用ルールがどう定まるかは不明だが、現場の治療実績を調べ、そのうち費用対効果に優れて安全性も担保された診療行為のみを保険適用とする、また混合診療解禁につながる改正も行っていくことになれば、かなり大掛かりな見直しであるのは間違いない。そうした見直しが実現した先には、何も不妊治療の領域にとどまらず、幅広く個々の診療行為において、アウトカム評価を重視して、保険適用の対象が費用対効果に優れたものに限定される可能性は十分にある。

 アウトカム評価の拡充は、厚労省にとって目下、重点課題であるだけに(関連記事)、今後の動向から目が離せない。

■変更履歴
記事初出時、「全ての診療行為」とあったのは「そのほかの各種診療行為」でした。お詫びして訂正します。記事は修正済みです。

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