これぞまさに走りながら考える役所だな、と感じさせられた。1月30日に経済産業省で開かれた「健康投資の見える化検討委員会」の第4回会合を傍聴していてのことだ。

 近年、社員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する「健康経営」の取り組みが広がりを見せている。旗振り役の経産省が顕彰制度を設けてPRに努めるなどのかいあって、社員が健康になれば社内の活力や生産性が向上して経営面のメリットも多いとの認識が経営者らに浸透しつつあるためだ。

 とはいえ、実践度合いにはかなりのばらつきが見られるのも事実。健康経営という言葉自体の認知度は高まり、関心の持つ企業は増えているものの、何から手を付ければいいのか分からずに結局手付かずのまま、あるいは実践してみたけれど、効果がよく分からずにそのまま下火になっているといったケースは少なくない。

 健康経営がこの先さらに普及拡大するためには、国がいくらやるべきと掛け声を上げたところでおぼつかないと考えた経産省。そこで編み出したのが、企業が自ら積極的に健康経営に取り組む管理会計の仕組みを設けることだった。健康に投資すると、本当に効果が上がるのか。会計の手法を用いて、企業が自社の取り組みに対してそうした費用対効果を客観的に測定できるようにするというものだ。「健康投資管理会計」と呼ばれ、何に一体、お金を投じて、どれだけの効果が得られたのか、その基準を定めるガイドラインづくりが健康投資の見える化検討委員会で進んでいる。

1月30日に経済産業省で開かれた第4回健康投資の見える化検討委員会(写真:Beyond Health)

 健康投資管理会計を行うことで、健康投資の費用対効果を客観的に評価・分析できれば、PDCAサイクルを回して継続的に業務改善につなげられる。さらに、経産省では、健康投資管理会計に基づく費用対効果の評価・分析結果は非財務情報として広く社外に開示できるようにする方針で、すると企業は結果が良好なら資本市場から評価されて、株価の上昇をもたらすなどの副次的な効果も得られる。ほかにも、経産省は健康投資管理会計の導入による「見える化」で効果が明らかな企業に対しては、官民を挙げて様々なインセンティブ措置を講じることを視野に入れているため、結果が出ていればその恩恵にあずかれる(関連記事:健康づくりに取り組まなければ「損」する時代に)