今年4月に予定される2022年度診療報酬改定の全貌がまもなく明らかになる。厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)は2月2日の総会で個別改定項目に関する議論を終了。次回9日に開く総会で具体的な点数改定案を答申する予定だ。

 さて、答申の際には中医協としての「附帯意見」も用意するのが通例。こちらには、今回は議論できずじまい、あるいは結論を得られなかったものの、次の改定、すなわち2024年度改定の際には検討してほしいという内容が盛り込まれる。2月2日の中医協総会では厚労省からこの付帯決議案も示され、中医協が了承した。

 今回、その附帯意見をめぐって、少々「異変」があった。1月28日時点で厚労省の素案にはなかった次の一文が新たに加わったのだ。

 「医薬品、医療機器及び医療技術の評価について、保険給付範囲の在り方等に関する議論の状況も把握しつつ、適切な評価の在り方について引き続き検討すること」

 これは1月28日の中医協総会で支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)から出てきた意見を反映したものだった。

 長年、中医協をウオッチしてきた筆者から見ると、附帯意見は、決定事項に対し多少なりの不満を抱える委員たちの単なるガス抜きや、「ほかにも一応いろいろ考えていますよ」といったアリバイ作り的な要素に過ぎない印象が強い。喉元過ぎれば何とやらなのか、附帯意見に盛り込まれた内容が本気で次の改定の際に議論されたことはほとんどないからだ。これはこれで残念な事実である。

 だが、今回の附帯意見に盛り込まれた一文は、「前例踏襲」とはならない可能性がある。注目したいのは、製薬業界団体トップに当たる、日本製薬工業協会・岡田安史会長の先月20日に行われた記者会見での発言だ。

 高齢化の進展などにより今後さらに保険財政がひっ迫する中、岡田会長は「イノベーションと国民皆保険の両立を図るには、公的保険給付範囲や負担構造の見直しといった国民的な議論が不可欠」と指摘。その上で、医薬品について「画期的な治療効果をもたらす新薬から上市時期や臨床的位置づけが変化した薬剤まで、すべからず公的保険でカバーされている現状を見直す必要も出てくる」と訴えたのだ(記者会見の様子: 日本製薬工業協会のWebサイト)。

 これは給付と負担の議論に積極的に参画する決意表明であり、医薬品の保険給付外しをも辞さない構えを見せた格好だ。製薬業界団体トップがここまで踏み込んだ発言をしたのはおそらく初めて。今後の行く末に対する強い危機意識の表れといえる。

 公的保険給付の範囲について、厚労省内では以前から「工夫の余地がある」として、表立っていないものも含め、いくつかの案が議論されているのも事実。それらが日の目を見る日は近いかもしれない。

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