改めて思わぬ展開だと感じさせられた。2月8日に行われた社会保障審議会(厚生労働大臣の諮問機関)の医療部会。複数の委員から「かかりつけ医」の定義を明確にするよう注文がつくと、厚労省の担当官は議論を深めることを約束した。そのやり取りを踏まえてだ。

 同日の医療部会では今国会に提出されている医療法等改正案などについて議論した。「かかりつけ医」の定義化の話が出たのは、改正法案の柱の一つである、地域の実情に応じた医療提供体制の確保に向けて行う「外来医療の機能の明確化・連携」に関する議論の最中だ。

 ここ数年来、国は大病院の外来は紹介患者を中心とし、一般的な外来受診は「かかりつけ医」に相談することを基本とするシステムの普及、定着を目指している。その実現に向け、厚労省はかかりつけ医機能を評価した診療報酬を導入したり、紹介状なしに一定規模以上の保険医療機関を受診する場合には患者に特別負担を求めたりする施策を取ってきた。

 ただし、ここに来てフェーズが一段変わった。きっかけは、政府の「全世代型社会保障検討会議」が2019年末にまとめた中間報告。紹介状なしで大病院を外来受診した場合に特別負担を求める制度(受診時定額負担)について、大病院・中小病院・診療所の外来機能の明確化を行いつつ、それを踏まえ、負担の対象病院を従来の特定機能病院と地域医療支援病院に限らず、200床以上の一般的な病院にまで広く拡大する旨を明記したのだ。

 もっとも、医療界、とりわけ病院団体からは、医療関係者が委員として参加していない検討会が一方的に「200床以上の一般病院」への拡大方針を打ち出したことへの不満が噴出。その結果、具体的な制度設計を任された厚労省は、拡大対象を200床以上病院の中でも、医療資源を重点的に活用して「紹介患者への外来を基本とする医療機関」に限ることとし、結局、全世代型社会保障検討会議の最終報告もその内容に軌道修正された。

 厚労省によると、「紹介患者への外来を基本とする医療機関」については、医療機関が都道府県に外来機能を報告する制度を創設した上で、そのデータをもとに地域ごとに対象を設定してもらう方向だという。国は該当基準の目安を示す。受診時定額負担の対象拡大は2022年4月の実施を予定する。

 この見直しは当然ながら病院にとって影響が大きい。専門外来と一般外来を併存させている病院は少なくないが、受診時定額負担の対象となることで、専門外来に専念し、一般外来を閉めざるを得ない判断に迫られるところも出てくるだろう。ただ、専門外来に専念するにはかかりつけ医からの紹介が不可欠で、その大前提としては、国民が「まず、かかりつけ医を受診し、そこから専門的な外来を行う医療機関を紹介してもらう」という受診行動をとる必要がある。

 ここでようやく冒頭の医療部会の話に戻るのだが、これから進める外来医療の機能の明確化・連携に関して、カギを握るのが「かかりつけ医」であるのは間違いない。けれども、「かかりつけ医については明確な定義や共通認識がないのでは」との意見が複数の委員から飛び出したわけだ。