薬局の薬剤師との会話はいつも画面越し。そんな日が来るのはそう遠くないのかもしれない。

 スマートフォンやパソコンなどを用いて薬剤師が処方薬の使い方を説明する「オンライン服薬指導」をめぐり、厚生労働省は現在、規制緩和の準備を進めている。ただ、筆者が見る限り、その過程は少々異様で、現在明らかになっている改正案よりもさらに踏み込んだ見直しとなる可能性がある。

 オンライン服薬指導は、2019年に成立した改正薬機法により全国で実施が可能となった。初回は対面のみで、オンライン診療や訪問診療を活用し、原則これまで処方された薬に限るといった前提条件がある。だが、新型コロナウイルスの影響で、2020年4月から時限的な特例措置として、初回でも薬剤師の判断でオンライン服薬指導が可能となり、対象患者や薬剤の制限も撤廃されている。

 その後、政府が昨年6月に閣議決定した規制改革実施計画の中でコロナ禍の特例措置を恒久化する方針を打ち出したことを受け、厚生労働省は関連する省令などの改正案を取りまとめたところ。現在はパブリックコメント(意見公募)を実施中で、3月9日まで意見を受け付けている。

 その見直し過程のどこが異様なのかといえば、厚労省の改正案が政府の規制改革推進会議に強烈な「ダメ出し」を受けたことにある。パブコメ実施後、それも2度にわたってだ。

 厚生労働省は昨年11月の段階で、オンライン服薬指導のルールの見直しとして、「新患等は対面を原則とし、やむを得ない場合にオンライン服薬指導」として、パブコメを実施していた。ところが、規制改革推進会議のワーキンググループ(WG)は、診療の場合はオンラインでは触診ができないといった事情により、対面診療の実施が必要な場合も存在するが、「服薬指導についてはそもそも対面とオンラインで分けることに意味はない」と批判。厚労省は修正を余儀なくされ、結局「対面指導を原則とせず」とすることで落ち着いた。

 だが、厚労省の受難は続く。今年2月7日のWGの会合では、「対面での指導が適切な場合」が争点に。「患者の状況によっては対面での服薬指導が適切な場合もあるため、オンライン服薬指導はかかりつけ薬剤師や当該患者の居住地域内や職場の近隣にある薬局により行うことが望ましい」との厚労省案に対し、委員からはけんもほろろな指摘が相次いだという。「対面が必要なケースは情報通信機器の使い方が途中でわからなくなってしまったなど限定的なはず」「次回以降に対面で服薬指導を受ける薬局も、あくまで患者の選択によるべきで、患者の居住地域内などが明らかに望ましいとする根拠にはならない」といった具合だ。

 これら痛烈な指摘により、厚労省は改正案を再修正し、翌2月8日から改めてパブコメをスタートさせたのだった。