薬局の調剤業務の外部委託をめぐる議論が熱を帯びている。政府の規制改革推進会議は昨年6月、規制改革推進に関する答申をまとめ、その中で「調剤業務の効率化を進める方策を2021年度から検討開始し、早期に必要な見直しを行うべき」と明記していた。念頭に置いたのは、同会議のワーキンググループ(WG)が議題にしていた、各薬局で行われている調剤業務の外部委託。薬機法施行規則第11条の11には「薬局の開設者は、調剤の求めがあった場合には、その薬局で調剤に従事する薬剤師にその薬局で調剤させなければならない」と規定されており、これにより調剤の外部委託は現在認められていない。だが、その“解禁”を求めたのだ。

 今年1月に入ると、規制改革推進派の日本経済団体連合会(経団連)が、オンラインでの服薬指導が恒久化されることもにらんで調剤の外部委託に関する要望を牧島かれん内閣府特命担当大臣(規制改革)宛てに提出。それを皮切りに、規制改革会議WGでの議論が始まり、厚生労働省でも別途「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」を設けて、協議をスタートさせた。これらを踏まえ、最終的な政府方針は今年夏ごろまでに固まる見込みだ。

 現在、議論がヒートアップしているのは、規制改革側と薬局・薬剤師組織との対立が鮮明なため。調剤の外部委託とは具体的に、処方箋を受け取った薬局が、調剤業務を、同一社内外を問わず高度に機械化の進んだ別の薬局などに委託できることを指す。受託側で調剤した薬は、委託薬局経由で、あるいはそのままダイレクトに患者宅に配送される

 外部委託により、集約効果で各薬局の在庫負担の軽減や作業の効率化が図られるだけでなく、薬剤師の対人業務の充実にもつながるというのが、規制改革側の主張だ。だが、日本薬剤師会は「到底受け入れられない」と真っ向から反発する。その理由は大きく三つある。

 第1に、調剤は薬剤師法で薬剤師の独占業務として位置づけられている薬剤師の本質の一つであって、調剤業務自体、患者の状況や処方箋の疑義などの確認から、医薬品の取りそろえ・調整、服薬指導、フォローアップまでの一連の行為として成り立っているので、切り出しは不可。第2に、仮に二者によって一連の行為が分断されれば、責任の所在が不明瞭になり、業務の正確性・安全性が損なわれることになりかねない。第3に、外部委託によりかえって業務の手間が増加する恐れもある──。

 ただ、こうした日薬の言い分には無理筋なところも見て取れる。外部委託した方があたかもリスクが高まるようにとらえているが、その具体的な根拠はとくに示されておらず、工程管理の工夫などで乗り切れる可能性は十分ある。また責任の所在について日薬は「一連の行為の分断に伴い、委託者側の薬剤師は受託者が指示通りにやってくれるだろうと思い込んで当事者意識が希薄になりがち。その結果、無責任状態が生じかねない」といった主張を展開するも、それは厳しい言い方をすれば責任放棄に通じる話。きっちり精度の高い管理が不可欠で、日薬がそのための指針を定めるなどしてもいいわけだ。さらに、そもそも調剤業務の外部委託は強制ではなく、選択肢の一つでしかない。

 そうした類の意見は既に規制改革推進会議WGメンバーなどから幾つか出ており、日薬の旗色はどうやら悪そうではある。