政府は3月26日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく「政府対策本部」(本部長:安倍晋三首相)を設置した。これにより、条件を満たせば、首相は「緊急事態宣言」の発令が可能になる。

 それにしても、この1週間で新型コロナを巡る情勢は刻一刻と変化し、深刻さが増した。振り返れば、政府の専門家会議が新たな提言を取りまとめたのは3月19日。現状は何とか持ち応えているものの、一部の地域では感染拡大が継続しており、これまでの努力を続けなければ、どこかで「オーバーシュート」と呼ばれる爆発的な患者数の増加も十分あり得ると警鐘を鳴らした。

 そうなれば医療崩壊が起き、対処不能に陥りかねない。その情報をいち早く聞きつけ、危機感を抱いた大阪府の吉村洋文知事は同日、3月20~22日の3連休中、大阪-兵庫間での往来を自粛するよう要請。東京都の小池百合子知事も3月25日に緊急記者会見を開き、「今が重大局面」として都民に今週末の外出自粛を強く呼び掛けた。すると、都の方針を受け、神奈川や埼玉、千葉県なども足並みをそろえる形で、今週末の外出や都内への移動の自粛を求めた。

 医療政策をつかさどる厚生労働省もこの間、対策を急いだ。3月19日付で各都道府県に対して、患者が大幅に増えた時に備え、病床確保と人工呼吸器などの設備整備を進めるよう通知を発出。患者の入院先を調整する「調整本部」の設置も求めた。その後、24~25日には日本医師会などの医療関係団体ならびに全国知事会との協議の場を設けて、同通知の取り組みの徹底をそれぞれ要請した。ほかにも、医療機関の協力を仰いで、感染症に対応できる全国の指定病院の空床状況や人工呼吸器などの医療機器の稼働状況、医療従事者の充足状況などを、来月早々にもインターネット上で公開していく方向だ。

 ここまで慌ただしい動きを見せた背景には、厚労省が設置した「クラスター対策班」の綿密な調査分析・予測があった。