「弱り目にたたり目」「踏んだり蹴ったりという感じでやるせない」──。関係職員の間で口を突いて出てくるのはそんな怨嗟の声ばかりだった。

 新型コロナウイルス対策として、安倍晋三首相肝煎りの、全世帯を対象にした布マスクの配布が4月17日に始まった。全国5000万世帯に2枚ずつ配る計画で、郵送費などを含めて約466億円が投じられる。

 全世帯向け配布に先立って妊婦用に配られた布マスクには、一部で変色や異物の混入が発覚。その不良品報告の数は、約50万枚発送されたうちの7800枚に及んだ。現在、配布は中断されている。一方、全世帯配布用に準備していたマスクにも不良品が見つかり、受注会社3社のうち2社は4月23日、未配布分を全て回収すると発表した。

 もともと政府の布マスク配布を巡っては、安倍首相が4月1日に突如、マスク不足の起死回生の策として打ち出したものの、当初から国民のウケは芳しくなく、「小さい」「効果に疑問」「税金の無駄遣い」など批判の声が相次いでいた。そこへ来て不良品問題まで持ち上がったのだから、世間の反発は当面収まりそうにない。

 不評の"政府公認"布マスクに不良品が相次いだのは、火に油を注いだ形と言っても過言ではないだろう。安倍政権にしてみれば下手を打ったわけだ。

 では、不良品問題は防げなかったのか。

 政府が配布する布マスクを用意するのは、厚生労働省内に設けられた「マスク等物資対策班」。同省の職員と経済産業省からの応援職員で構成されている。その関係者に上記の問いを尋ねると、「不良品問題は起こるべくして起こったのかもしれない」と思いもよらぬ答えが返ってきた。そして、冒頭にあるような恨み節、嘆き節を続けたのだった。