日本歯科医師会(日歯)は2022年5月19日、2040年を見据えた歯科ビジョン フォローアップ会議を開催した。遡ること1年半前、高齢者数がピークを迎える2040年に向けて、日歯は今後20年にわたる指針として、歯科医療が果たすべき新しい役割をまとめた歯科ビジョンを公表。そこには、目指す5つの柱と、柱実現のための戦略を盛り込んでおり、具体的なアクション展開がどれだけ進んだかを検証・確認する目的で、フォローアップ会議を開催したというわけだ。筆者はビジョン策定時の外部委員の一人で、この日のフォローアップ会議にも参加した。

 会議では冒頭、堀 憲郎会長が、歯科ビジョンの実現にあたって、組織内に18チームを立ち上げ、それぞれに執行部役員による責任者を置いて、具体的な取り組みにかかっている旨を報告。各チームの進捗度合いを一覧にしてまとめた資料も示した。その後、代表して6チームの責任者が、現在までの主な取組内容を発表した。

 「ライフステージに応じた切れ目のない歯科健診の法制化」対応に当たるチームの目指すゴールは、まさに歯科健診制度の拡充だ。現在、法律で義務化されている歯科健診は、1 歳 6 カ月、3 歳および学童期の学校歯科健診、ならびにごく限られた職種に対する特殊歯科健診のみであり、高校卒業時の 18 歳から歯周疾患検診の始まる 40 歳までの働き盛りの世代には歯科健診の機会が無いに等しい。また、2019 年に成育基本法が施行されたが、妊産婦歯科健康診査も未だに法制化されておらず、自治体の努力義務に委ねられているため取り組みにばらつきが見られる。

 一方で、口腔の健康状態が全身疾患と密接に関わるエビデンスは既に明らかになっている。健康寿命を延ばすためには歯を含めた口腔内の健康維持が重要で、その実践に向けてライフステージに応じた切れ目のない歯科健診受診機会の充実が欠かせないというのが日歯の考え。だからこそ法制化を求めている。

 とはいえ、それをいくら声高に叫んでも事態がすぐさま変わるわけではない。日歯はその点を意識して、今できる取り組みとして、労働者の健康を守る観点から、日本の大部分を占める小規模事業所などで活用してもらおうと、歯科口腔保健に関するスクリーニングが可能なスマホアプリの開発に着手した。これは従業員がスマホ上で簡単な設問に答えると、お口の健康度がセルフチェックできるというものだ。働く世代の口腔リテラシーをあげるとともに、歯科予防や早期の歯科受診につなげて、からだの健康を保てるようにする。

 今秋にはこのスマホアプリのモデル事業を行って検証した後にリリース予定だという。

「2040年を見据えた歯科ビジョン フォローアップ会議」の様子(写真提供:日本歯科医師会)
「2040年を見据えた歯科ビジョン フォローアップ会議」の様子(写真提供:日本歯科医師会)
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