児童虐待早期発見のためのチェックリストは既に完成

 「児童虐待への歯科的対応」の検討を進めるチームからの報告もあった。近年、社会問題化している児童虐待に関し、歯科ビジョンでは、「歯科医師は虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、早期発見に努める」旨を明記しており、具体的なアクションプランとして、児童虐待の早期発見に向けた診断用アセスメントシートを2025年までに開発すると掲げていた。

 児童相談所による児童虐待相談対応件数は、2020年度に20万件を超えて過去最多を更新。そうした事情を踏まえ、同チームはアセスメントシートの開発を急ぐこととし、この4月には完成させたという。

 「健やかな子育て支援のチェックリスト」と名付け、「乳幼児歯科健診」「学校歯科健診」「歯科診療所」でそれぞれ使えるよう3種類を用意。いずれもA4サイズ1枚で構成し、表面にチェックリスト、裏面に解説を記載した。

 例えば「乳幼児歯科健診」用では、「体がかなり小さい」「もう虫歯がある」「仕上げ磨きがあまりにもできていない」「おやつの内容や与え方に問題がある」などの項目を確認。一つでもチェックが入ったり、ほかにも何か違和感を覚えたり気になったりしたら、行政職に報告する。そして行政職を中心に情報共有し、地域でサポートできる体制を構築する、とした。

 シートは都道府県や郡市区医師会が広く活用できるよう、アレンジできる形で日歯のホームページ上に掲載している。

 さて、フォローアップ会議では、こうして取組内容の報告があったわけだが、四半世紀にわたり医療行政や医療関係団体の取材をメーンで進めてきた筆者にとって、これは非常に驚くべきことでもあった。官庁・都道府県・団体でビジョンを策定した事例は過去にいくつもあるが、その実現に向けてチーム単位のタスクフォースをいくつもつくって進捗を確認しながら、細かくアクション展開につなげたケースは、果たしてどれだけあったか。極めてレアなのは間違いない。多くの場合、いつのまにかビジョンをまとめることが目的化して、ビジョンができあがればそれでおしまいの扱いになってしまっている。

 だが、日歯はビジョンに沿って具体的なアクション展開がどれだけ進んだかを検証・確認する目的で、わざわざフォローアップ会議を開催する気合の入れようだ。そこには確実に実行に移していくという強い意向が見て取れる。

 「日本医師会もみならってほしい」。フォローアップ会議の外部委員の一人、元 日医常任理事の鈴木邦彦氏は率直にそんな感想を口にしていた。

 堀会長は組織トップとしてフォローアップの手を緩めることはないもよう。その結果、実際に具体的なアクションがどこまでどう進むのか。期待しながらみていきたい。

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