薬局間で進む優勝劣敗

 では、取りまとめ案で筆者が何に注目したかというと、次の記述だ。

処方箋枚数は、高齢者人口の増加等により当面は増加するが、将来的には減少すると予測されていることから、これまでのような医薬分業の進展に伴う処方箋の増加に対応したビジネスモデルは成り立たなくなり、薬局の本来の役割を発揮するためには、処方箋を持たなくても住民がアクセスできるような業務を行うべき。調剤だけが薬局の役割であるかのような「調剤薬局」という名称が用いられる状況は変えていくべき。

 「薬局の本来の役割を発揮するためには、処方箋を持たなくても住民がアクセスできるような業務を行うべき」というのが肝になるわけだが、この箇条書きの前後の文章を読む限り、薬局の本来の役割とは具体的に以下の内容を指すとみられる。

 日常的な医薬品の供給拠点であり、かつ住民の生活を支えていく取り組みを実践している。災害時には医薬品供給に加え、衛生管理として避難所の消毒や感染症対策への対応を行っている。学校等での公衆衛生活動にも尽力し、環境衛生や薬物乱用に努め、さらに感染症防止対策にも対応する。

 また、緊急避妊薬の取扱いについても言及されており、薬剤師として、女性の健康に関する相談など適切な対応もできるようにすべき旨が記載されている。

 こうした取り組みを幅広く行うのが薬局であり、業務を調剤に限ることはあるべき姿ではない、ひいてはこの先、調剤薬局という名称が用いられる状況は変えていくべき、とまで言っているのだ。

 現在6万軒を超える保険薬局のうち、調剤を専業としているところは少なくない。そこに「ノー」を突き付けた格好だ。調剤薬局が消えゆく運命なら、現在、調剤を専業とする薬局は生き残るために機能転換を図っていくことになる。こうして薬局間の競争は激化。優勝劣敗が加速することになるだろう。

 国策として医薬分業を推し進め、結果として調剤薬局という形態を生み出したのは、他でもない、厚労省だったはず。だが、今になって調剤薬局の業態変革を求めてきたわけだ。そこに複雑な感情を抱く薬局関係者は多いと思うが、フェーズが変わった以上、それに対応しなければ生き残りはおぼつかないだろう。

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