6月27日に行われた日本医師会の会長選挙。前会長の横倉義武氏を退け、新たにトップの座に就いたのは前副会長の中川俊男氏だった。獲得票数は191票対174票。近年まれにみる接戦だった。

代議員全員がマスクとフェイスシールドを着用して行われた日医会長選挙の様子(写真:Beyond Health、以下同)

 出馬表明が遅れた横倉氏は事前の票読みでは明らかに劣勢に立たされていた。そのため、6月17日の立候補締切日までに出馬を取り下げる可能性もあるのではとみられていた。一方で、劣勢であるからこそ、横倉陣営は必死の巻き返しを図り、様々な手段を使って中川陣営の切り崩しを成功させ、そこからは雪崩を打つように横倉氏に票が流れるという見立てがあったのも事実。だが、いずれも実現せず、終焉を迎えたのだった。

新会長の誕生を厚労官僚はどう見た?

 さて、中川新会長の誕生を複雑な思いで見つめているのが厚生労働省だ。歯に衣着せぬ物言いで知られる中川氏。一口に言えば相手をやり込めるタイプである。官僚にももちろん手厳しい。中川氏が委員を務めていた各種審議会での発言を耳にして、筆者は傍聴席で何度「うわー」と思わずつぶやいたことか。

 今回の会長選を巡っては当初、5月末の時点でいったんは、横倉氏が4期8年務めた会長職を引退し、中川氏に禅譲する意向を固めたとの報道が出ていた。それを受け、筆者が何人かの厚労官僚に感想を尋ねたところ、「いやー、激震だよ」とか、言葉を詰まらせながら「うーん、何とも言えないね……」といった答えが返ってきた。大抵が苦笑交じりだった。その後、横倉氏の出馬が決まると、選挙情勢はどうなっているのかをこちらが逆質問されることも。行く末を気にしている様子が十分に伝わってきた。

 どう取ってみても中川氏への警戒感や苦手意識が満載ということになるわけだが、激戦を制し、新会長の座に就いたのは、中川氏。厚労官僚は否が応でも様々な場面でこれまで以上に同氏に向き合う必要がある。

 ではこの先、厚労省と日医の距離感はどうなっていくのか。