7月に入り、中央社会保険医療協議会(中医協)で、2022年度診療報酬改定に向けた論点整理の議論が始まった。

 次期改定の目玉の一つが、オンライン診療に関する報酬の行方。政府は、新型コロナウイルス対策で臨時特例的に認めてきた初診からのオンライン診療を、来年度から恒久化する方針で、先ごろ閣議決定した「規制改革実施計画」の中に盛り込んだ。これを受け、厚生労働省は、初診から認めるのは原則としてかかりつけ医とするが、それ以外の医師も事前に健康診断情報を得るなどの条件付きで認める方向を固めた。秋までに、「オンラインでのやりとり」の詳細や実際の運用方法などを詰める。

 その後は中医協で、「オンライン診療の報酬」に関する議論が行われることになる。臨時特例を除き、現時点では初診からのオンライン診療はできないため、点数も設定されていない。また、もともとある「オンライン診療料」の施設基準や算定要件はハードルが高いことが以前から指摘されている。そのあたりも含め、次期診療報酬改定では、ある程度大がかりな見直しが行われる可能性がある。

 ところで、診療報酬改定のたびに、政府が決めた改定率に応じて個別の診療報酬点数の上げ下げや、新たな点数項目の設定などが行われるわけだが、そこには大きな特徴がある。それはずばり、わが国の医療サービスの提供体制や利用形態を、改定を通じて変えていこうとする政策誘導の色彩が強いという点だ。診療報酬が変わることで、医師や医療機関の診療行動のあり方が変容する。そのことを厚労省は改定のたびに学んでおり、上手に活用しているのだ。

 基本的な方向性として、現在の医療で必要でありながらも足りない医療行為のほか、現場発で効果を上げている取り組みに対する評価が拡充されるのが常。このうち、近年は、後者に対する評価の拡充の方がより積極的に行われている傾向がみられる。

 古くは、診療報酬引き上げのための財源がある程度確保されていた時代もあるが、2000年以降をみると、国の厳しい財政事情を背景に、概ねマイナス改定が続いている。マイナス改定の場合、評価を拡充できるのは、ごくわずかに限られるため、データ重視で、現場発で実際に効果を上げている取り組みが厳選されて、診療報酬が増点されたり新設されたりしているのだ。

 だから何を言いたいのかといえばこうだ。

 医療現場からは、様々な場面での医療サービスの提供や各種医療体制の構築に関し、診療報酬の点数が低い、あるいは点数がついていないから、取り組まないし、取り組めないといった声をしばし耳にする。だが、取り組むことなく、効果のほどがわからないものに対しては、今の時代、評価が拡充されることはほとんどない。点数は実際の取り組みのあとからついてくるものなのだ。最初からあきらめの境地では一向に報われない。

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