「何だか面白そう」とワクワクしていたものの、数日たって思い直した。「いや、ちょっと待って」──。

 経済産業省が主導して創設した「Healthcare Innovation Hub」(通称:InnoHub[イノハブ])は、既報通り、7月5日に始動した。筆者の頭の中に浮かんだのは、このイノハブに関してだ。

 イノハブは、ヘルスケアやライフサイエンスのベンチャー企業などによる支援をワンストップで行う相談窓口。政府の健康・医療戦略推進本部(本部長:安倍晋三首相)の議論の中で、ヘルスケア分野に関する国や民間の事業支援策は多岐にわたっており、それぞれ問い合わせ先がバラバラなのは使い勝手が悪いといった声が上がり、設置された。

 イノハブでは、ベンチャー企業のみならず、中小企業や大企業などの団体、創業前の個人からも幅広く相談を受け付ける。内容に応じて、アドバイザーとして登録された各分野の専門家が、適切な制度や関連施策、窓口を紹介するほか、相談者と国内外の支援企業などをつなぐビジネスマッチングも積極的に行う方向だ。相談者がこの仕組みを利用するのに、費用は一切かからない。

 実際、公的機関・民間企業による、ヘルスケア事業を支援する施策はあまたある。イノハブの公式サイトには、海外の事例も含めて実施主体(国、民間・任意団体、自治体)別に全部で114の支援施策が一覧で紹介されている。これだけあれば、確かにベンチャーなどはどこに相談すればよいか分かりにくい。

 では、イノハブの創設は、ヘルスケアやライフサイエンスのベンチャーを手掛ける企業にとって願ってもないことで、今後利用は進むとみていいのだろうか──。

 実はイノハブ創設から遡ること1年半前、昨年2月には、かなりこれと似通った組織が立ち上がっていた。厚生労働省の「MEDISO(メディソ)」だ。こちらは、同省が規制する医薬品医療機器等法(薬機法)の対象となる医薬品や医療機器、再生医療等製品の事業化を目指す医療系ベンチャー企業をトータルサポートする組織に当たる。研究開発から実用化に至る段階で生じる多様な課題に対応するため、医薬品や医療機器に関する知識を持った人材を登録し、彼らがニーズに応じた相談や支援を行う。具体的には、関連法令、特許の調査方法、補助金の獲得法などを紹介する。電話やメール、専用のポータルサイトに寄せられた相談を専用オフィスで受け付け、知見ある専門家の手を借りて、相談企業を支援していくやり方は完全にイノハブと同じだ。