自分の現状に満足できない。理想の自分はほかにあるのではないか。自分にはもっと社会で担う役割があるはず。だから納得できるまで「新しい自分」を追い求める──。

 「自分探し」という言葉は、おおむねこんな意味だろう。筆者の頭には最近この言葉がふと浮かんだ。厚生労働省の「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」(以下、WG)が7月11日に取りまとめた報告書を見てのことだ。副題には、「薬剤師が地域で活躍するためのアクションプラン」とある。

 同WGは、将来薬剤師が過剰になるとの予測をまとめた厚労省の有識者会議「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」の作業部会に当たる。今年の2月から7回にわたって、目指すべき薬局薬剤師の業務や薬局機能のあり方と、それを実現するための具体的な対応策について議論を重ねてきた。報告書では、今後の対応の方向性を(1)対人業務の充実、(2)対物業務の効率化、(3)薬局薬剤師DX、(4)地域における薬剤師の役割──の四つに整理した上で、それぞれ取り組むべき事項を示した。

 ここでその詳細は触れないが、一読する限り、幅広い内容ではある。

 振り返ると、かつてない薬局バッシングが吹き荒れたのは2013年ごろ。「調剤薬局は儲かりすぎ」「わざわざ薬をもらうのに薬局に行くのは二度手間で、時間がかかって、オマケに高い」など、批判が噴出した。危機感を強めた厚労省は2015年10月、薬局の再編に向けて「患者のための薬局ビジョン 『門前』から『かかりつけ』、そして『地域』へ」を公表。2025年までに全薬局が患者の情報を一元管理する「かかりつけ薬局」としての機能を持つという目標を掲げた。

 その後、2017年3月には同ビジョン実現のアクションプランを策定。かかりつけ薬剤師・薬局となるための具体的な取組集として、薬剤師・薬局が抱える現状と課題、その解決策や参考となる事例をまとめた。加えて、医薬分業の質を評価するためのKPI(重要業績評価指標)を設定し、その進捗管理を行う旨も示した。

 ところが、である。そのアクションプランに沿った動きはなかなか進まず。ビジョンでは、「服薬情報の一元的・継続的な把握と薬学的管理・指導」「24時間対応・在宅対応」「医療機関等との連携強化」を三つの柱として掲げたが、実践する薬局は限られる。

 全薬局をかかりつけ化するとうたった2025年まで3年を切る中、厚労省としては何らかの手を打つ必要がある。それもあって別途、検討会を立ち上げ、再度アクションプランをつくった。それが冒頭紹介したWGによる報告書に当たる。

 実践されずに来たことがたくさんある。これから薬局に迫ってくるICT化への対応も急がねばならない。さらには、「薬局ごとに行われている調剤業務の外部委託を認めて薬は調剤センターから配送すべし」と、盛んに牽制してくる“外野”の規制改革会議からの圧力をうまくかわす必要もある。

 そうして膨らんだ報告書。何だかそれが「自分探し」を続けているように筆者には映るのだ。

 現状に満足できない。理想はほかにあって、もっと社会で担う役割があるはず。だから納得できるまで「新しい自分」を追い求める。そんな姿と重なるからだ。

 思い起こせば、「薬局薬剤師のあるべき姿」論というのは、四半世紀以上前の筆者が駆け出し記者の頃にも行われていた。そしていまだに続いている。この先も終わりそうにない気がしてならない。

 片や医師や看護師は職業・職能としての「自分探し」の旅などしていないと言っていい。「自分」が確立しているのだから。この差はあまりに大きいと感じている。

(タイトル部のImage:kichigin19-stock.adobe.com)