7月29日、厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会で「医療費適正化計画」の見直し論議がスタートした。医療費適正化計画は、医療費の伸びを抑えるために各都道府県が国と協力しながら策定するもの。2006年の医療制度改革で導入が決まり、2008年度から5年計画で始まった。第1期(2008~2012年度)、第2期(2013~2017年度)を経て、第3期からは6年計画となっている。

 現在は第3期計画の真っただ中。2024年度から次の第4期計画がスタートするわけだが、そのあり方を見直そうというのが今回の議論だ。厚労省は都道府県が適正化計画を作る手引となる基本方針を策定しており、審議会の検討結果はそこに反映される。

 なぜ適正化計画のあり方を見直すのか。理由は医療費削減に向けた実効性を高めるためにほかならない。

 医療費の増加を抑えるため、第1期計画では、特定健診・保健指導の実施率向上や平均在院日数の短縮を目標に据え、第2期には後発医薬品の使用促進に関する数値目標を追加。第3期からは平均在院日数を目標に入れず、生活習慣病の重症化予防や医薬品の適正使用の推進(重複投薬、多剤投与の適正化)に向けた取り組みなどを新たな指標として取り入れた。

 だが、都道府県ごとに計画の進捗状況にはばらつきがみられ、医療費の抑制効果はごく限られている。

 今後の見直しの方向性は審議会での検討結果次第だが、基本的に、医療費適正化を進めるために都道府県の権限が一定程度強化されるとみられる。あわせてカギを握るのが情報公開だ。現状、各都道府県の医療費適正化計画の進捗状況・結果については、計画の中間年と計画の終了後に公表されているが、例えばそれを毎年公表することとし、市町村単位での実績もわかるようにする。どうやらそんなプランが水面下で検討されているもようだ。そうすれば都道府県、さらには自治体間でも競争意識が働き、結果がついてくるとみているふしがある。

 「都道府県や自治体ごとに数字を競わせるやり方は、新型コロナウイルスのワクチン接種拡大で実を上げた」とは、さる厚労官僚の弁。その成功体験を適正化計画にも応用できないかと考えている。

 もっとも、新型コロナのワクチン接種は国民の関心が極めて高い事項であるからこそ、都道府県や自治体の競争意識が働いたわけであって、適正化計画でも同じ現象が起きるとは限らないだろう。

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