「薬局・薬剤師島」の薬系技官の本音は?

 さりとて何が変わらないのかといえば、厚生行政における薬局・薬剤師の位置付けといえばいいのか。そんな部分だ。

 厚労省内では、病院・診療所といった医療機関、医師や歯科医師、看護師、さらには助産師、保健師、臨床検査技師、作業療法士や理学療法士などの医療職種の所管は全て同省医政局である。一方、医療機関として認められたはずの薬局、医療提供者の一員となったはずの薬剤師の所管は、同省医薬・生活衛生局のままだ。ちなみに、同省医薬・生活衛生局が担うのは、医薬品や医療機器などの薬事、薬剤師の国家試験、食品や水道などの生活衛生に関してだ。

 医政局の中でも医師に関することを取り扱う医事課、歯科医師を取り扱う歯科保健課、看護師を取り扱う看護課は同じフロアに隣同士で机を並べており、距離はとても近い。片や、医薬・生活衛生局は医政局から10数階離れた場所に存在する。

 この物理的な距離感のせいだろうか、薬局・薬剤師は医政局が所管する医療提供体制回りの議論の際には、別扱いされがちだ。現に、例えば医療計画に関する記述の見直しに関しては「医療機関」と記した場合は、医師・歯科医師が診療行為を行う施設(病院・診療所)と狭義の意味で扱われ、薬局を加える場合は必ず「医療機関・薬局」や「医療機関等」とされるのだ。このやり方は一向に変わらない。

 端から見ていると、薬局・薬剤師は医療機関・医療従事者から仲間外れのままという印象だ。もともと薬局は長らく薬を売るだけの小売業と見なされていた歴史があり(今も産業分類上は小売業のままだが)、かつ日本では医療は営利を目的にしてはならないという大原則があるものの、薬局は株式会社(=営利法人)が多いこともあって、別扱いがまかり通って、いまだにそれは是正されずにいるのが実態のようだ。

 省内で医系技官と薬系技官それぞれに話を聞いたところ、医薬分業がこれだけ進んで、薬剤師もコメディカルスタッフであるのは確かだから、どちらも「本来は医政局に加わるべきだとは思う」との返答だった。

 ところが、省内ではそんな見直し議論は一切出ずじまいで、このまま縦割りが続くとの見方が専ら。薬系技官からは「医政局に加わっても、医系技官主導で肩身の狭い思いをするなら、現行通り医薬・生活衛生局の『薬局・薬剤師島』で薬系技官が差配する世界でやり過ごしていた方がいい」との本音も聞かれた。このようなお役所の縄張り意識や縦割りの壁をぶち壊さない限り、今回の改正薬機法が目指す薬局・薬剤師像はなかなか実現しないだろうと思うのは筆者だけだろうか。

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