並行してコロナ対応の手厚い診療報酬や補助金が決定

 この手紙作戦をどうみるか。

 手紙を出しますよ宣言が飛び出した8月17日の前日、8月16日には、厚生労働省が新型コロナウイルスの自宅療養者らに対して電話やオンラインで診療した場合の診療報酬を大幅に引き上げる旨を自治体に通知したところ。初診の報酬は従来214点(2140 円)だったが、これに二類感染症患者入院診療加算の250 点(2500 円)を算定することが可能となった。再診においても従来の73点(730円)に同額の2500円を上乗せできる。また、新型コロナウイルス対応の臨時施設や健康管理を強化した宿泊療養施設、入院待機ステーションに医師らを派遣する医療機関向けの補助金も2倍に引き上げ、1時間当たりの補助金額の上限は医師1万5100円、看護師ら医師以外の医療従事者5520 円、業務調整員3120円となった。

 その後8月23日には、厚労省と東京都が、改正感染症法に基づき都内の全ての医療機関に対し、新型コロナウイルス患者向けの病床確保と最大限の患者受け入れを要請。正当な理由なく要請に応じない場合は勧告し、従わなければ医療機関名を公表できる。国が法に基づき要請に乗り出すのは今回が初めてだ。要請への回答期限は8月31日に設定されている。

 この時系列を見る限り、日本医師会の中川会長が手紙作戦を進めたのはおそらくこんな思いからか。コロナ対応の手厚い診療報酬や補助金は確保した。片や、厚労省は感染症法に基づき強制力を伴う措置に踏み切る構えなので、何とかコロナ対応に協力して、事なきを得てほしい。

 その願いを手紙に託す。会員一人ひとりに対して。郵送までしてだ。

 日本医師会に対しては、今回のコロナ対応に関し辛辣な意見が相次いでいるのはご存じのところ。実際、日本医師会としてうまく立ち回れず、コロナ禍の医療提供体制が十分確保できないままでいる。結局、今回の手紙に行き着いた。とどのつまり、「組織力のぜい弱ぶりが露呈した」とはさる厚労官僚の弁だ。今の日本医師会が厳しい局面を迎えているのは確かだろう。

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