今年も経済産業省の「健康経営度調査」が始まった。企業関係者で、「健康経営、何それ?」とか「面倒な調査だからそんなのに回答していられないし興味なし」とか思っていたら、危険信号。将来、痛い目に遭うかもしれない。

 健康経営は、若年層の人口減少に伴って人手不足が深刻化する中、社員の健康こそが会社の競争力を高め、生産性向上につながるとの考えから生まれた言葉だ。企業が従業員の健康維持につながる施策を講じる取り組みを指す。政府は近年、成長戦略の一環としてその普及に力を入れてきた。

 健康経営推進の旗振り役を担うのは経産省。2015年より、東京証券取引所と共同で従業員の健康増進に積極的な上場企業を選定し、「健康経営銘柄」として毎年公表。2017年には、日本健康会議とともに、上場企業に限らず、従業員の健康施策が優秀な大企業や中小企業などの法人を顕彰する「健康経営優良法人制度」をスタートさせた。

 この健康経営銘柄の選定や健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定に向けて実施されているのが健康経営度調査に当たる。同調査の結果をもって健康経営銘柄や健康経営優良法人が決まる仕組みだ。毎年、調査の回答期間は8月末から10月にかけてで、翌年2~3月に選定・認定された企業や法人が公表されるスケジュール。今年の健康経営度調査は8月30日から10月11日まで回答を受け付けている。

 多少大げさな言い方になるかもしれないが、健康経営を志向していない企業はこの先、生き残りはおぼつかないだろう。戦後豊かな経済社会が実現し、平均寿命が約50歳から約80歳に伸び、「人生100年時代」も現実味を帯びてきた。そんな状況を前に、政府は、国民の平均寿命の延伸に対応して、「生涯現役」を前提とした経済社会システムの再構築を急いでいる。その一環として、一人ひとりが企業・地域社会においていかに健康で活躍できるかを重視する。それもそのはず、各人のその後の健康寿命にも大きく影響してくるからだ。だからこそ、以前にも増して政府は健康経営の普及に余念がなく、経産省としてもその質を問い始めている(関連記事)。

 また、政府の方針にかかわらず、そもそも今や個人レベルでも生き方や働き方を見つめ直す動きが加速している。従って、それらの変化に対応できずに、健康経営に取り組まない企業は早晩淘汰されることになる。