菅義偉首相の突然の退陣表明で、自民党総裁選に向けた動きが活発化している。現時点では混戦模様になるとみられ、誰が勝つのか予断を許さない状況だ。新総裁が決まると党役員・組閣人事があり、さらにその後、衆院選が行われ、再び党役員・組閣人事がある。すべて終了するまでこれから2カ月ほどかかるとみられる。

 この間の霞が関の受け止めはどうか。筆者がよく取材する厚生労働省に関して言えば、官僚たちは次に誰が首相になるのか、そして自分たち組織のトップの大臣に誰が就くのかついて、もちろん少なからず関心を寄せている。だが、所詮「考えてもしょうがない」と淡々としており、むしろ2カ月近くの“空白期間”の過ごし方に思いを馳せている。予定した政策のスケジュールが後ろにずれ込むことを気にしつつも、じっくり政策を練り上げたり、現場を訪問して情報収集したりすることができると歓迎ムードなのだ。

 もっとも、後に待ち受けるのは、激務の日々。選挙後の組閣を経て、政務三役(大臣・副大臣・政務官)が確定するわけだが、この顔ぶれがすべて以前と同じであることはまずなく、全員刷新となる可能性だってある。結果、官僚たちは慌ただしく資料作りやレクチャーに奔走することになる。

 政策通と言われる人が三役に入れば、官僚たちはほっと胸をなでおろし、門外漢が入れば眉をひそめる。それが現実だ。

 厚労省には計5名の政治家がいるが、さる厚労官僚はかつて筆者に対し、「政治家の力量は、役所に入ってきてから歴然と判別できるようになる」と語っていた。そしてこうも続けたのがいまだに忘れられない。

「政治家には3パターンある。(1)内部の情報や力学をセンス良く学び、官僚とも信頼関係を築く議員、(2)『自分が上司だ』とばかりに尊大な言動を繰り返して煙たがられ、知識も力量も増えない議員、(3)膨大な政策知識を詰め込むのに必死で、いつも手いっぱいの“可も不可もない”議員。

 無論、(1)なら官僚は末永く情報提供し、お伺いを立てる大物へと『育っていただく』よう尽くすし、(2)と(3)は『忘れられる』こととなる」

 かなり辛辣な意見だが、この発言からも見て取れるように、官僚たちは議員の見定めに冷静な眼差しを送っている。

 今回もまたこうした光景が繰り広げられるのだろうか。ともあれ、空白期間を歓迎しているというなら、その分の結果をぜひ期待したい。

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