10月4日に岸田文雄内閣が発足した。新型コロナウイルス対策の要となる厚生労働大臣、経済再生担当大臣、ワクチン担当大臣はいずれも交代し、それぞれ後藤茂之氏、山際大志郎氏、堀内詔子氏が就任した。

 最近は感染状況が比較的落ち着いているとはいえ、第6波到来の可能性も懸念される中、3閣僚とも総入れ替えとなったことに自民党内からも少なからず驚く声があった模様だ。ただ、前任の田村憲久氏、西村康稔氏、河野太郎氏の連携はうまくいっているとは言い難い面があり、首相には全面刷新してチームプレー強化の狙いがあるともとらえられる。

 そして同日は首相秘書官8人も決まった。政務担当の首相秘書官は、元経済産業事務次官の嶋田隆氏と岸田事務所政策秘書の山本高義氏。各省庁から任用される形の事務担当の首相秘書官には、財務省出身の宇波弘貴氏(前・財務省主計局次長)と中山光輝氏(前・内閣官房内閣審議官)、経産省出身の荒井勝喜氏(前・経産省商務情報政策局長)、外務省出身の中込正志氏(前・内閣官房内閣審議官)、警察庁出身の逢阪貴士氏(前・警察庁会計課長)、防衛省出身の中嶋浩一郎氏が登用された。中嶋氏のみが菅内閣からの留任である。次官経験者の秘書官就任は極めて異例。また、全体を通じ、経産省と財務省の出身が2人ずつを占めた。

 さて、これらの陣容が判明すると、落胆や怨嗟の声が聞かれたのは厚労省だ。思い起こせば昨年9月の菅義偉政権誕生時、厚労省内は湧き立っていた(関連記事)。省を率いる大臣の座には、2度目の登板で、社会保障や医療政策に精通している実力者の田村憲久氏が就任。また通常、財務・外務・経産・警察で固められる首相事務担当秘書官の一角には厚労官僚が食い込んだ。厚労省からの首相秘書官の起用は戦後初となった民主党政権時代以来のことで、第2次安倍政権以降続いた「不遇の時代」(厚労省幹部)にひとまず終止符を打った格好だった。

 だが、わずか1年後にして、田村氏は内閣を去り、厚労省出身の首相秘書官ポストも再び失った。同省幹部からは「本当に残念」「せっかく仕事がやりやすくなったのに」と、恨み節が漏れる。

 岸田首相は、感染症対策の司令塔役として「健康危機管理庁」(仮称)を創設する構想を打ち出しており、これも厚労省をざわつかせている。同組織がどこまで権限を持つかは不明だが、厚労省の弱体化につながってしまう恐れもあると懸念しているのだ。もっとも、健康危機管理庁の創設は中長期の課題とされており、喫緊に迫る話ではない。