「アウトカム評価の拡大は慎重に」

 だが、「アウトカム評価の拡大は慎重に」というのが厚生労働省のスタンスである。なぜか。10月11日に行われた「クロスヘルスEXPO2019」(日経BP主催)のシンポジウム内で、同省の鈴木康裕医務技監はその理由をこう明かしていた。

 「状態がほとんど変化しない病態や、治療効果を見る良い指標が存在しない疾病にはアウトカム評価の導入は不可能。また、いわゆるクリームスキミング(いいとこ取り)が起きて、医療機関が治りやすい患者だけを集めてしまう可能性がある」

 確かにその通りだろう。ただ、鈴木氏は「一部のアウトカム評価は非常に重要」と加えるのも忘れなかった。

 実は、このセッションには、経済産業省の江崎禎英政策統括調整官、財務省の宇波弘貴主計局次長、そして日本医師会の横倉義武会長もパネリストとして参加していた。

「クロスヘルスEXPO 2019」設立記念シンポジウムの様子(写真:渡辺慎一郎=スタジオキャスパー)

 興味深かったのは、鈴木氏の後に続いた江崎氏の発言だ。「医療のアウトカム評価を医師に押し付けるのは酷で気の毒」だとして、「特に生活習慣病の治療評価には患者を関与させるべき。改善効果を上げるのに患者本人が関わらないわけにはいかないのだから」と述べたのだ。

 そう来たか、と筆者は思わず膝を打った。