英国では患者の健康状態に応じた報酬制度に

 他の先進国では、医療の成果主義が既に重視されている。例えば英国の場合、公的医療はフリーアクセスではなく、市民自ら登録を行った総合診療医(GP)にて初期診療が提供されるが、慢性疾患を中心に地域住民を対象として健康状態の改善を示すデータが多く見られる医師には報酬のボーナスが支給されるようになっている。ちなみに、医薬品についても、患者に効果が出れば製薬会社が提案する薬剤費を全額支払うが、効果がなければ不要となるか値引きするといった、成功報酬型薬価制度の導入が進んでいる。

 今のところ、英国のような仕組みが日本に即導入される可能性は低い。だが、財務省の宇民氏は、当然ながら、立場上、財政面を考えてもアウトカム評価を拡大すべきとの考えで、「ただし、エビデンスがとても大事」と述べていた。日医の横倉会長からは特にアウトカム評価の導入に関してのコメントはなかった。

 少し話を整理すると、4人のパネリストのうち、きちんとしたデータに基づくアウトカム評価なら取り入れることに対して異論を唱えた人は一人もいなかった。つまり、診療や指導による改善が期待され、かつ治療効果を見る良い指標がある疾患で、別途クリームスキミングが起きないような方策が講じられていれば、アウトカム評価導入への障壁はないのだ。

 すると、これからの医療現場では、患者の健康状態を常時モニタリングするシステムやePRO(電子的な患者報告アウトカム) への需要がおのずと高まってくるだろう。そのためには、例えば患者にアプリに症状を入力してもらったり、ウエアラブル端末をつけてもらったりするなど、患者の協力が不可欠になってくる。

 経産省の江崎氏による「医療のアウトカム評価に患者を関与させるべき」との発言の真意は、ヘルスケアサービス産業の育成につながるからでもあってのこと。それゆえ、筆者は膝を打ったのだった。

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