確信犯なのか、それとも下手を打っただけなのか──。

 厚生労働省が先月、全国1455の公立病院や日本赤十字社などの公的病院のうち、病床数や診療体制の見直しを含めた再編・統廃合に向けた議論の必要があると判断した424の病院名を公表した件が波紋を広げている。地方自治体や地域医療の現場から、「地方の実情が分かっていない」「地域の医療を支えてきた病院がなくなるのは困る」など、反発の声が相次いでいるからだ。

 これを受け、同省は急遽、10月中に全国の7つのブロックで自治体関係者らを対象にした意見交換会をセット。11月には特に強い要望が出た県の担当部局に、個別に説明に赴くことにしている。

 この424病院「再編」案公表に対して自治体関係者らが不満をあらわにするのは、もっぱらリストアップが唐突だったという点。確かに、拙速な進め方は混乱を招くだけだし、名指しされた側の医療機関側にしてみれば、不安感を拭えず、被害者意識を募らせることにもなるだろう。

 さりとて、厚労省が全く根回しもせずに独断で病院のリストを公表したのかといえば、そうではない。筆者の取材では、公表の数日~1週間前までには政治家の与党幹部レベルに加え、全国知事会や全国市長会、全国町村会の主要役員、また都道府県の医療行政担当者に対し、厚労官僚が説明に回っていた。日本医師会(日医)に至っては、1年ほど前から、ゆくゆくは病院リストを公表する旨を伝達済みだったという。それなりの手順は踏んでいたわけだ。

 その事前説明の中で、全国知事会はさすがに「病院リストの公表は大問題になる」とけん制してきたらしい。だが、厚労省は公表するに至った。

 現在、全国で開かれている自治体関係者らとの意見交換会のもようは、テレビニュースなどでも報じられているところだが、多く映るのが、厚労官僚が県知事や市長、地方議員などに攻め込まれている場面だ。「こんなのはブラックリストだ」「撤回すべき」といった批判の声に対し、厚労官僚が「皆様の不安を招いてしまったことを、我々としても反省しています」などと陳謝している。この光景だけを見れば、厚労省は下手を打ったということになるのだろうが、さる幹部はこう語る。

 「罵詈雑言も想定の範囲内。リスト公表はやってよかったし、我々は当然やるべきことだとして進めてきた」

 意見交換会での様子とは打って変わり、胸を張っての発言だ。