現在、新型コロナウイルス感染症を受けた対応として特例的に認められている初診からのオンライン診療。政府は2022年度からオンライン初診を恒久化する方針で、厚生労働省が実施に向けた具体的な検討を進めている。既に最終段階に入っており、同省では近く、恒久的な制度とするための「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(指針)を改訂する方向だ。

 その中身としては、初診はかかりつけの医師が行うのを原則とするが、それ以外でも、事前に健康診断結果などで患者の状態を把握できる場合は認める。また、指針には初診からのオンライン診療に適さない症状や医薬品なども示す。

 現在の特例措置では、かかりつけ医以外でも初診からオンライン診療を行え、対象疾患も問わない。薬に関してのみ、「麻薬および向精神薬は処方してはならない」「患者の基礎疾患情報が把握できない場合、処方日数は7日間を上限とし、ハイリスク薬の処方はしてはならない」と規定する。

 つまり、この先待ち受けるオンライン初診の恒久化は、今の特例措置より厳格化することになる。

 それをもってして、厚労省に対し、「後ろ向きだ」「規制を緩和して問題があれば修正すればいいだけ」といった批判的な見方も一部に渦巻く。だが、同省は一貫して慎重姿勢を崩していない。

 その最たる理由は、安全性を確保するためだ。

 オンライン診療では、直接の対面診療と比べて得られる情報が限られる。「誤診」や「隠れた傷病の見逃し」などが生じるリスクがあり、リスク低減への思いが強い。

 それだけにとどまらない。規制官庁として阻止したいのは不正の横行。厚労省の検討会では、糖尿病薬をダイエット薬と偽ってオンライン診療で処方したり、オンライン診療と称して医師どころか医療関係の資格さえ持たない「相談員」が処方箋を出したり、といった事例を紹介した。

 厚労省医政局の中堅幹部によると、こうした問題のあるオンライン診療はインターネットで検索すると山ほど出てきて、実際に省の職員が、薬が処方される直前までの手続きを試す“おとり捜査”的手法をとることもあるという。「『厚労省に認められている』など、嘘のうたい文句を平気で並べていて、やり方が狡猾」と憤る。

 もちろん不正に対しては厳罰に処していく。と同時に、「まだ移行期にあり、ある程度の慎重さをもってオンライン診療を進めた方が適正な事例を蓄積できる」(同幹部)というのが厚労省の考えだ。

オンライン診療を行う医師と対面診療を行う医師の連携を報酬で後押しか

 厚労省が目指す慎重なオンライン診療の推進。そのカギを握るのは対面診療の実施体制にある。安全性確保の観点から、オンライン診療を行う前、あるいはオンライン診療実施の中で「オンライン診療では対処できない。対面診療に移行する必要がある」と医師が判断した場合に、速やかに対面診療に移行できる体制を整えておく。そんな要件が指針には入る見込みとなっている

 指針の見直しを踏まえ、診療報酬の扱いは厚労大臣の諮問機関「中央社会保険医療協議会」(中医協)で議論されることになる。そこに厚労省がどんな案を提示するかはまだ定かではないが、どうやら「対面診療が必要である」となった場合の実施体制の確保に向けては、きめ細かな配慮がなされる模様だ。

 オンライン診療を行う医師がすぐさま対面に切り替えられるとは限らず、困難な場合は連携先の医療機関に速やかに紹介して対応してもらう必要がある。そうした場合の報酬が新設されることなどが考えられる。例えば、オンライン診療を行う医師と、対面診療を行う医師が共同してカンファレンスを実施することなどに対する加算がつくといったイメージだ。対面診療に移行する必要があることを早期に察知できるデジタルデバイスの活用などに関しても、報酬上の手当てがつく可能性がある。

 実際どうなるのかは中医協での議論次第。機を見て続報をお届けしたい。

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